醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  844号  白井一道

2018-10-02 17:59:31 | 随筆・小説


 石破氏の話を聞いて


 沖縄知事選で佐喜真候補は公約として「地位協定改定」を掲げていた。「日米地位協定改定」を掲げていた佐喜真候補を安倍官邸は支持した。共産党は小池書記局長は記者会見の席で「日米地位協定改定」は与党の政策課題になったと記者からの質問に答えていた。日米地位協定は運用の改定で十分だと公の席で安倍総理は発言している。安倍総理初め、安倍内閣は日米地位協定改定の意思はないのであろう。「選挙での公約だ」ということで野党の追及にあっても柳に風と受け流していくのではないかと思う。それが許されると踏んでいる。選挙での公約とはとても軽いもののようである。この付けはいつか大きな仕返しがあるのじゃないかと思う。
 昨日、「BSTBC報道19/30」を見た。石破茂自民党衆議院議員が出演していた。キャスターの松原耕二氏が石破氏に質問した。佐喜真候補か辺野古新基地建設に佐喜真候が一切触れないのはどうなのかと尋ねた。その松原氏の質問に対して佐喜真候補は辺野古移設に賛成であったと思う。しかし選挙というのは当選しなくちゃならない。当選するためには辺野古新基地建設の問題には触れないでおこうということなんじゃないかと述べていた。玉城デニー候補が翁長前沖縄県知事の意思を継ぎ、辺野古新基地建設はさせないと明確にしていたのに対して佐喜真候補が辺野古新基地建設には触れなかったことを弁護していた。沖縄県にとって決定的に大事な問題に対して県民の気持ちを経済問題や普天間基地返還問題に向けさせるようなことをするのが選挙のようだ。石破氏は選挙で県民の気持ちを左右するようなことをしてもいいと考えているようだ。選挙とは県民の意思をくみ取り、その民意を県政に反映するのが選挙だという考えはないようだ。
 沖縄から中継され沖縄知事予定者になった玉城デニー氏が番組に登場した。デニー氏は石破氏と挨拶を交わした後、松原氏に促されて石破氏に質問した。前防衛大臣の稲葉氏が参議院外交防衛委員会で辺野古米軍基地が建設されても普天間基地は返還されないと民進党議員の質問に答えているがこの問題はどうなのかと玉城氏は石破氏に質問した。この質問に対して石破氏は明確な回答をしなかった。話はしたが何を話しているのか私には分からなかった。この石破氏の発言を聞いてやっぱりそうなのかなと思った。普天間米軍基地の危険を取り除くには辺野古に米軍の新基地を作る以外に方法はないという話をよく聞くが本当は普天間米軍基地の返還について安倍政権は真剣にアメリカ政府と交渉していないというのが実態なのだろうなと思った。佐喜真候補が知事選で熱を込めて話していた普天間基地の返還も当選してしまえば、選挙の時の公約などかなぐり捨ててしまうのが自民党なのかもしれない。安倍政権は嘘を言う。安倍政権の言うことを国民は信じていないが、選挙になると自民党に投票する国民がいる。これは国民が選挙に興味も関心もないからなのだろう。
 安倍政権が全力を注ぎ、佐喜真候補を応援したが敗北した。公明党は本土の人間を五千人とも六千人とも言われる選挙のベテランを沖縄に派遣し、徹底的な支援態勢を組んだようだが、玉城デニー候補の選挙開票速報の会場には創価学会の三色旗が翻っていた。辺野古新基地建設に反対だと主張していた創価学会員は中央の指示を拒否し、玉城候補に投票したようだ。自民党にあってもおよそ25パーセントの自民党支持者が玉城候補に投票したようだ。
 安倍総理は口を開けば沖縄の民意にそっていきたいという。また選挙の結果は真摯に受け止めたいと発言する。一方、菅官房長官は辺野古新基地建設をやめる意向はないと明確に発言している。安倍政権は沖縄の民意を真摯に受け止める意向はないようだ。沖縄の民意を分断し、沖縄の民意を圧し潰すのが安倍政権のようだ。これが民主主義だとうそぶいている。
 安倍総理が沖縄知事選の結果を真摯に受け止めるならば、辺野古新基地建設はやめ、普天間米軍基地の返還を実現し、沖縄県民に米軍跡地を返還すべきなのだろう。
 安全保障のために沖縄県民の土地を取り上げ、沖縄県民を危険にさらすことが正義だと主張する。そんな安全保障があるのだろうか。どこの国を仮想敵国にしているのだろう。そんな仮想敵国は存在しない。仮想敵国を創るのではなく、平和友好を実現するのが安全保障じゃないのか。今世界は経済が世界的規模になってきているのだから、世界が平和でなければ経済は発展しない。平和友好を進め、経済交流が深まっていくなら軍事基地など必要ない。
 このように私は考えている。

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