高橋巌著『千年紀末の神秘学』より
親たちは、たとえば、日帝三十六年の朝鮮における
差別、被差別に対する非人間的な対応、沖縄に対する
土地の買い占め等々に関して、なるべく知りたくないし、
そういうことを知ると気持ちが重くなってしょうがないから、
今は考えない、これからいいことをすればいいという感じで、
そういう問題を処理しようとします。その結果が、子供の世界を
地獄にしてしまうのです。子供たちの世界を地獄にすることは、
親や教師の歴史に対する反省が足りないところからきていると
いうことが見えていませんと、今日の日本人の地獄の堂々巡りの
第八領界的な道徳生活から立ち直れるはずがないのです。
日本人の精神性を甦らせる唯一の方法は、過去をどこまでも
徹底して認識できるかということです。