ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

2016-11-21 13:28:56 | Weblog


風が吹いていた
世界を回り
人なつこい
窓辺に留まり
家人の話し声

風は澄んでそっと
目をつむる
夕べの夢を思い出すため

窓は開け放たれ
幻想の音楽が聴こえた
風の音は世界を回り

夢を溢れ零していった
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薊(那珂太郎)(全文)

2016-11-21 09:47:31 | Weblog
薊(那珂太郎)(全文)

朽ちた帆桁の肋骨の下で お前の時計は停まった
はらからよ 数瞬お前はひどく苦しんだ 無に至る
狭い咽喉から嚥下(えんか)されるために そのとき
お前の咽喉の奥が油の切れた滑車のようにかすかに
軋んだ

さしのべられた痩せた干魚のさきで 曇り硝子の
破られ目からわづかに覗いた青空のきれっぱし
お前の瞳はそれを映したか だがそれはもはやお前の
ものではなかった 光と影によじれた時間がちぎれた
テープのようにくづ折れ 瞬間果たれぬ蒼茫に呑まれた
出帆のあとのひとけない波止場

俺の心はふしぎな平衡(へいこう)を保ってしづかだ
お前の胃袋に溜まった思念の残り滓は 冷たくなった
形骸とともに焦げくさい煙のように立ち昇り はるかな
虹色の雲と化した生とは不治の疾患であったか 今こそ
お前はそれから癒されたいというか はらからよ

かつてその胎内から この世に産みおとされたお前は
すでに土塊と化した母の傍に 今一握の骨片となって
還る 梢を渡る無言の子守唄 露にきらめく骨壺に挿された
透明な薊の花

*「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」
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薊(四連)(那珂太郎)

2016-11-21 09:36:53 | Weblog
薊(四連)(那珂太郎)
かつてその胎内から この世に産みおとされたお前は
すでに土塊と化した母の傍に 今一握の骨片となって
還る 梢を渡る無言の子守唄 露にきらめく骨壺に挿された
透明な薊の花
「戦後詩によるメーソン殲滅作戦」
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