ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

お金の神様 中沢新一『日本文学の大地』より

2016-12-29 13:33:53 | Weblog
雨月物語(お金の神様)

まじめな蓄財家の問いかけとは、こうである。
お金が支配する経済の世界には、道徳や倫理の
感化力は及ばないのだろうか。富んでいる者
といえば、おおかた貪欲で、こういう人たちには
儒教の説などは、馬の耳に念仏である。仏教では
前世の因縁を説いているから、そういう貧欲を
いくぶんかは抑えることもできよう。しかし、
それでいいのだろうか。自分には、金銭を尊ぶ
気持ちと、いままで言われてきた倫理の説とが、
どうもしっくりこないように感じられる。この
点を、黄金の精霊はどう考えられるか。
これに対する、お金の神様の答えは、感動的な
ほどに明快で、深いのである。精霊はつぎのように
断言する。
我もと神にあらず仏にあらず、只これ非情なり。
非情のもととしての人の善悪を糺(ただ)し、それに
したがうべきいはれなし。………我は仏家の善業も
しらず。儒門の天命にも抱(かか)はらず、異なる境に
あそぶなり。

*上田秋成、雨月物語の言い分ですが……???

雨の日には

2016-12-28 21:34:02 | Weblog
雨の日には、きみの銃の手いれをするがよい
(武器を、ものを、言葉を、ととのえるのか。
自由と虚偽と、火と罪の火とを、見わける
すべを心得ることだ)。
ルネ シャール『痙攣した晴朗さのために』

音楽の秘密

2016-12-27 18:27:41 | Weblog
こうやって口をついて出てくる簡単なリズムとメロディー
でできた歌が、恐怖をおしのけ、追いはらってくれるように
感じられるのだ。音楽が底なしのカオスから彼をジャンプさせ、
そこにひとつの秩序を作り出してくれているのである。
(中沢新一)『虹の理論』