ともすると、失言や暴言のたぐいは個人の資質に流されることが多い。しかい、この政権でやまないそれは、歴史や憲法をことごとく無視してきたから▶それを証明した本が戦争法の強行のあと、大学教授らによって編れました。ナチスの手口を学んだらどうか、ポツダム宣言をつまびらかに読んでいない…。彼らのそれは個人主義や民主主義、平和主義といった戦後の概念を根底から覆すものでした(『これでいいのか!日本の民主主義』)▶桜田義孝五輪相が自民党議員の名をあげて、「復興以上に大事」と発言しました。「あんまりだ」「泣けてくる」「復興五輪と言いながらなんだ」。きのう月命日だった被災地は怒りや悲しみをあらわにしました▶「忖度」発言で国交副大臣が辞めたばかり。国民のことより自分たちの仲間や利益が大事という露骨な言い草も、さんざん私的なことに政治を動かしてきた首相のもとでは当たり前の帰結か▶この政権は社会の進歩を妨げ、個人の尊厳をふみにじる言葉をくり返してきました。「LGBTは生産性がない」「セクハラ罪っていう罪はない」「それで何人死んだんだ」「がっかりした」―。傷つく相手や存在のことなど、考えようともせずに▶先の本は、こうしたアべ政治に反対する人たちの声を未来に希望を与える言葉として対置しています。憲法や平和、人権や多様な生き方を守りたい。それは、よりよい社会や生活をもとめる人びとから発せられたものです。民衆に力もまた、言葉だと。(しんぶん赤旗、潮流より転写)