一日で、潮が大きく変わる。
「下潮が動いていない」
「船がフラフラして、安定しない」
「アタリが渋いですね。瀬周りを攻めてカサゴがアタルくらいですね」
色々なところにいる仲間達も、異口同音に潮の不調に苦戦している様子。
沈み瀬周りのベイト反応を叩くと、カサゴは反応してくる。

アヤメカサゴが、思い出したように針掛かりしてくる。
潮の活性が見られない時の、瀬周りを攻める時に多くヒットする。
しかし、潮目にはブリらしきナブラも見られる。
ベイト反応が良い場所では、強烈なアタリも来た。

竿が立てられず、ラインがどんどん引き出される。
「鮫かな…」
「鮫なら、途中で止まりますよ。止まったら、円を描くように泳ぎますよ」
「ブリも、時折、同じような反応を示しますね」
いろいろと想像しながら、相手の走りをなんとか止めに掛かる。
ジグの針は、大きめの1本針にしてある。
力を込めて、フッキングする。
真っ直ぐに、真下に突っ込んでいく。

真下に走っているだけに、船で差を詰める事は出来ない。
「何とか、頑張って」
声援を送るが…。
思い切って、浮かせに掛かった時、針が外れた。
「針掛かりが浅かったみたいです」
簑原さんの海面を見やる表情が、その口惜しさを物語っている。
「2度目ですね」
今日の大当たりは、2度目だ。
動きの悪い潮でも、ベイトには何かが付いていると感じた。