花がいかに無垢な存在であろうとも、明日の在り様を予知などしてくれるわけはない。
ただ、見えないモノを見てみたいという好奇心に衝き動かされ、アクロバティックな姿勢で花芯を覗き込む。
はしたないなどとは言ってほしくない。トウチクランの花の構造を見極めたいがためなのだから。
生じたばかりのつぼみの時期は黄緑色を呈しているが、時の経過とともに、茶花宝鐸草という別名の通り、茶色に染まっていく。
下垂した花は6枚の花被片から構成され、開口部は10ミリと開くことはない。黄みを帯びた葯を持つ雄しべは花被片から飛び出ることはなく、子房から伸びた白い花柱が三裂しているのが見て取れる。
せっかく咲いてくれた大事な花、その花を初めて分解してみた(もったいないなぁ~)。ピンセットも、メスもない。太い指(?)でむしり取っただけ。物撮りも上手くないし、ランティングなども考えた方がいいね 汗
花被片は、外花被3枚、内花被3枚、合計6枚からなる。大切な器官を保護するかのように、子房の周りを6本の雄しべが取り囲んでいる。
確かに、こうやってみると、ネット上の写真やイラストなどでしか拝見したことがなかった花の構造がよくわかる。可哀そうだけど、やってみるだけの価値はあるかも。
杉の木と、電信柱とが、背比べをしている。そんなところに割って入ろうというのだから、しょせん無理な話なのである。
それでも、精一杯背伸びを繰り返し、負けるものかと張り合っている。
そんな花芯を覗き見ると、柱頭の先端が三裂し、雌花期に入ったことが窺える。
そう、このホタルブクロは両性花であり、キキョウの仲間の特徴である雄性先熟の花の一つなのだ。
デジタル大辞泉には、「種子植物では、個々の花において、雄しべまたは雄花が先に成熟し、のちに雌しべまたは雌花が成熟することを指す。」とある。一般的に、遺伝子の組み合わせの多様性を逓減させる自家受粉の弊害を回避し、他家受粉の機会を増大させる生き物たちの知恵などと解説される。
下から覗き見ても明日は見えないかもしれないが、花の不思議を垣間見ることだけはできるかもしれないね。