梅雨らしい雨がしとしとと降る朝に、ギンセンカの一番花が咲いた。
未明には一時止んでいたと思われる雨だったが、明け方にはまた降り始め、葉も、花びらも、しとどに濡れた様は哀れを誘う。
毎年、こぼれ種で更新していたのが、昨年は一芽も萌え出ることなく年が暮れてしまった。二年ぶりの再会、植物の不可思議さにちょっと戸惑う。
学名は、Hibiscus trionum(ハイビスカス トリオナム)という。また、朝露草(チョウロソウ)などという小粋な名も併せ持つ。朝早くにほころび始め、昼頃には萎んでしまう様を銘としたものであろうか。ちなみに、英名はflower-of-an-hourという。また、bladder ketmiaとも。えっ、何故?
昨年夏、自邸の駐車場の脇に得体の知れない朝顔が咲いていた。花色だけ見ると、あの「団十郎では?」と思わせる風貌。
国立歴史民俗博物館において、2013年7月30日~2013年9月1日に開催された『くらしの植物苑特別企画「伝統の朝顔」』の案内ページには、団十郎朝顔に関して、次のような説明がなされていた。
黄蝉葉 栗皮茶 丸咲 大輪(きせみば くりかわちゃ まるざき たいりん:団十郎)
葉は黄色の蝉葉で、花は柿ともいう茶系統の花色で、市川団十郎好みの色にちなんで団十郎と命名された。
一部だが、「似ていないとも言い難い」という程度だったが、運よく種もできていたので採っておいた。
どうだろう? まだ萌え出たばかりだが、黄の蝉葉とは言い難いかな?
掃き溜めに鶴ではないが、裏藪に団十郎という具合に上手くいくのか見物中なのである。
📸2023年6月11日:セリバオウレン (芹葉黄連:キンポウゲ科オウレン属の多年草) ( 画像のクリックで大きな画像を表示。{戻る}ボタンで元のページに復帰) |
📸2023年6月11日:バイカオウレン (梅花黄連:キンポウゲ科オウレン属の多年草) (画像のクリックで大きな画像を表示。{戻る}ボタンで元のページに復帰) |
朝ドラ「らんまん」の影響なのだろう、最近、園芸分野のテレビ番組には牧野富太郎がらみが多い。そして、必ずと言っていいほど、彼が愛したというバイカオウレンの映像が流れる。
植物園などで見て、かねてからオウレン(黄連)の仲間を育ててみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなかった。今年初旬、まずセリバオウレンをネットでポチった。その後、花友さんからバイカオウレンのプレゼントがあった。いまの姿が上記の画像である。
オウレンの仲間は、小葉の切れ込み(ギリシャ語:coptein)の違いによって次の3つの変種に分類されるという。
キクバオウレン(Coptis japonica var. anemonifolia)
:葉は1回3出複葉 変種名のanemonifoliaはアネモネ(イチリンソウ属)の葉を指す
セリバオウレン(Coptis japonica var. dissecta)
:2回3出複葉 変種名のdissectaは多くの切れ込み(多裂)があるの意味。
コセリバオウレン(Coptis japonica var. japonica)
:3回3出複葉 なぜ「日本の」がリフレーンされるのだろう?
では、バイカオウレンはどこに分類されるのだろう? どうも上記とは異なる変種のようなのだ。
上記、3種のオウレンの学名は、Coptis japonicaとなっているが、バイカオウレンの方はというと、Coptis quinquefoliaとなる。quinquefoliaは「5枚の葉」の意。上記バイカオウレンの葉をご覧いただくと、5枚の小葉を持っているのがわかるだろう。
あっ、そう、そう、最後になっちゃったけど、そもそも種名の「Coptis」なんだけど、元を辿るとギリシャ語の「切る=coptein」から転じた語彙なんだと。きっと切れっ切れの葉っぱの形状からの連想なんだろうなんて思ったんだけど・・・・・・。