電験で使う三角関数の公式で暗記すべきは正弦・余弦の加法定理ぐらいと思いますが、これだってオイラーの公式から容易に導出できます。
ある2つの単位複素ベクトルの偏角がαとβの場合、
ε^α=cosα+jsinα
ε^β=cosβ+jsinβ
と表せます。この左辺を掛け合わせると、指数関数の積の法則から
ε^α・ε^β=ε^(α+β)
となりますね。これをオイラーの公式で開いてやると
ε^(α+β)=cos(α+β)+jsin(α+β)
となります。一方で右辺を掛け合わせると、j^2=-1なので
(cosα+jsinβ)(cosβ+jsinβ)=(cosα・cosβ-sinα・sinβ)+j(sinα・cosβ+cosα・sinβ)
となるわけです。指数関数の積として得られた結果と先ほどの結果が同じでなきゃいけませんので、実部と虚部を比較して、
cos(α+β)=cosα・cosβ-sinα・sinβ
sin(α+β)=sinα・cosβ+cosα・sinβ
といった具合に余弦と正弦の加法定理が容易に導出できるわけです。
ただ、これから言えるのは加法定理を覚える必要がないっていうより、複素数同士の掛け算や割り算はオイラーの公式で開かないで指数関数の形のまま行ったほうが容易だということです。最後に足し算引き算だけが残っている段階でオイラーの公式を開けば、加法定理そのものが使う局面が非常に限られたものだってことが分かります。
ってえらっそうに述べてますがこのことを分かって使いこなすのに私は6年かかりました。そう、わが人生の黒歴史といってもいい電験2種を志してから合格するまでのもがき続けた年月と同じです。分かってないから電験2種の記述の試験のたびに計算が崩れて、同じ試験を5回にわたり落っことしたわけなんですね。
つらつらわが屈辱の電験受験を振り返ってみますと、電験合格に必要なことは大学で習うような難しいことを知ってるかではなくて、中学校の算数レベルで解けるような単純な理解モデルにどれだけ落とし込めるかってことでした。電験3種レベルではそれが容易にできたから一発合格が出来たわけですが、電験2種では落とし込むより難しいほうへと考えてしまいがちでそれが自分がスパイラルで苦しんだ原因なんでしょう。