奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

土砂降りの後には

2011-05-22 | 心詩~こころうた・己
土砂降りの雨に打たれながら
私は空を見上げていた

──お前も 泣きたい時があるのか?

灰色の町に降る 涙雨
私は雨に紛れて
ただひとり 泣きとおした


やがて雨は上がり
雲の切れ間から陽の光が射した

先に泣き止んだ空に
私の涙も ふと止まった

──散々泣いて 気が済んだのか?

そう訊ねた瞬間
ずぶ濡れになった自分の姿が
やけに滑稽に思えた

何をそんなに
落ち込んでいたのだろう

心を覆っていたものをすべて洗い流して
どこか吹っ切れたような心持ちになっていた

やがて 遠くの空に幾筋もの光が降り注ぎ
私はつかの間 天使たちの姿を見ていた


泣きたい時に思い切り泣けたなら
その後にはきっと 笑顔でまた始められる

流れる雲の向こうに覗く青空を見上げ
私は 肺いっぱいに深呼吸をした

──お天道様は ちゃんと見ていてくれる

不思議なほど安らかな心で
私はまた そこから一歩を踏み出した