心の奥底に潜む
もう一人の自分
偽善と欺瞞に満ちる世界を
冷ややかに見下す腹黒い眼
善人であると信じた自分は
これほどに黒々とした
思考を隠し持っていたのか
祈りは届かなかった
ただ 穏やかに流れる時間を
ただ 地道に積み重ねてゆく努力を
ただ 両足で立つための自尊心を
すべてが自分には許されぬことだと
思い知らされたあの日から
私は 善人であることをやめた
なぜ人は
同じ分量の幸と不幸を
与えられないのだろう
だから人は
他人の痛みが分からぬと言うのか
自分の不運ばかり呪ってしまうのか
信じたものさえ見失い
祈ることの虚しさに気づく
邪心に飲み込まれる苦しみより
このまま野垂れ死ぬほうがいい
弱さを欲望の言い訳にするな
汚れたその手で祈ることなどできはしない
人生すべてと引き換えの
無垢なる願いであるならば
儚く消えゆくこの命を
惜しまず逝かせてくれるだろうか
虚しく去りゆくこの世界に
生きた証しを残してくれるだろうか
善人でありたかった私に
なにを与えてくれるだろうか──
もう一人の自分
偽善と欺瞞に満ちる世界を
冷ややかに見下す腹黒い眼
善人であると信じた自分は
これほどに黒々とした
思考を隠し持っていたのか
祈りは届かなかった
ただ 穏やかに流れる時間を
ただ 地道に積み重ねてゆく努力を
ただ 両足で立つための自尊心を
すべてが自分には許されぬことだと
思い知らされたあの日から
私は 善人であることをやめた
なぜ人は
同じ分量の幸と不幸を
与えられないのだろう
だから人は
他人の痛みが分からぬと言うのか
自分の不運ばかり呪ってしまうのか
信じたものさえ見失い
祈ることの虚しさに気づく
邪心に飲み込まれる苦しみより
このまま野垂れ死ぬほうがいい
弱さを欲望の言い訳にするな
汚れたその手で祈ることなどできはしない
人生すべてと引き換えの
無垢なる願いであるならば
儚く消えゆくこの命を
惜しまず逝かせてくれるだろうか
虚しく去りゆくこの世界に
生きた証しを残してくれるだろうか
善人でありたかった私に
なにを与えてくれるだろうか──