相撲の曙関が来て、メニューを提案した。それが曙丼(あけぼのどん)。何でもかんでも海の高級食材が詰め込まれている。サザエ、アワビ、エビ…。
彼は素晴らしい言葉を残した。人相が悪い人だが、その言葉でいっぺんに彼が好きになった。「絶対に値上げしないでくれ」
その一言により中西食堂はずっと1000円で頑張っている。でも食堂のおばさんは、「今度の消費税でどうなるかはわかりません」と言った。
精一杯曙との約束を守ってきた。そこでほかのメニューとの間にアンバランスが生じている。福岡市内でこのレベルを食えば安くて4000円だ。だが、重要な点はいくらカネを出してもこの臨場感を、漁船のエンジン音が聞こえるここで食わなければ感じられないこと。
色彩的にいかにも漁師飯だ。しかし、このごろ著しい値上げで一般的にサザエ、アワビの類は、天文学的価格になっている。それがこれでもかと入っていてワカメがどんぶりの中に塩風を吹かせている。
サザエさんの漫画を描いた長谷川町子さんが住んだ町が対岸にあり目視できる。
あまりインテリアにはこだわらない。飯を食うところが食堂だ。だから味で勝負するんだ。いすやテーブルは関係ない。…という威勢のいいおばちゃんの声が聞こえてきそうだ。大きくシャキシャキした張りのある声で注文を取る。
そうでなくちゃあ、と僕は思った。味噌汁お替り無料。そう来なくっちゃあ。
↑の画像で鳥居を探してください。その鳥居の向こうが船着き場。福岡のベイサイドプレイスから高速船で30分。約500円。
ぼくは車で行った。駐車場の看板の手作り感がいい。
色紙はこの3倍あった。
人間の感覚の中で一番最後に発達するものは、「苦味」である。この苦みの良さを分からない人はまだ脳の発達が十分でないガキだ。
人生の苦みも同じ。苦しいことは嫌だとばかり言って逃げていると人生の苦みの良さを味わいそこなう。
栄螺。奥の奥の先端までひねり出した時の快感。苦みのご褒美。
名刺もらった。
そのあと弘(ひろ)漁港で乾燥ワカメにゴマをまぶしたのを買って志賀島資料館に行き金印でハンコを押した。
コペンご苦労さん。その資料館(無料)がある国民休暇村、駐車場で。
カネを使うと楽しいが使わないともっと楽しい。