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第34回邪馬台国までの行程【まとめ】 ~超難問を解説、水行陸行問題はトラブルメーカー? 河村哲夫の日本古代史チャンネル@YouTube
興味ある話題を有難うございます。
水行・陸行は一旦無視すべきという河村先生のご提案に賛成です。邪馬台国への行程は、邪馬台国を魏の戦略上重要な位置に置くために政治的に作られたと分かっています(詳細は「刮目天の古代史 魏志倭人伝の真実?」参照)。ですから、この行程記事から位置論に入っても300年も決着がつかない話になるわけです。
そこで、先生は不弥国から邪馬台国まで徒歩で行ける場所という解決案をお出しになりましたが、金印や鏡、絹織物など発見した人が容易に持ち運べる遺物などは決定的な証拠にはなりにくいと思います。 もっと合理的な解決手法はあると思います。
つまり、魏志倭人伝の行程記事以外で、以下のような邪馬台国に関する記事がいくつかありますので、それらを基に探し、いくつか候補地が出てくればその中で最も蓋然性の高いものを最有力候補とすればよいと思います。
現在九州説で候補とされている吉野ヶ里遺跡や朝倉の遺跡群は残念ながらこれらの条件と合いません。
①「女王国東渡海千餘里 復有國 皆倭種(女王国の東、海を渡ること千余里にして、また国有り。みな倭種なり。)」
短里は行程記事が正しく書かれていることを前提にしたつじつま合わせの仮説ですので、当時の一里は約450mとするのが妥当です。つまり、千余里は約450kmということです。九州説ですと、この条件に合う場所は周防灘に面した地域となり、宇佐が最有力となります。宇佐は御存じのとおり宇佐神宮があり、皇室の祖廟です。畿内説では東に海ということは合致しないので、理由なしでこの記述を無視しています。日本列島内でこの記述に合う、邪馬台国の候補地はないようですので、最初に学説とされた富来隆先生が最大の根拠としています(富来隆「卑弥呼」学生社1975年 参照)。
しかし、「自女王國以北 特置一大率檢察 諸國畏憚之 常治伊都國 於國中有如刺史(女王国より以北は、特に一大率を置き、検察す。諸国はこれを畏憚す。常に伊都国に治す。国中における刺史の如くあり。)」から伊都国の南という方角が合致しませんので、この文章の「北」は上記の理由で政治的に作られた方角であって、伊都国から方角が東にある宇佐説は正しい可能性があります。
②「卑彌呼以死 大作冢 徑百餘歩 徇葬者奴婢百餘人(卑弥呼は死に、冢を大きく作った。直径は百余歩。徇葬者は奴婢、百余人である。)」「其死有棺無槨 封土作冢(その死には、棺有りて槨なし。土で封じ冢を作る。)」
卑弥呼の死の前後の記述から急造りの土を盛り上げただけの円形墳墓で直径は約150m。墳頂部に女王の棺が埋められ、その傍らに奴婢約100名を殉葬した痕跡がある場所ということです。卑弥呼の死は大きな事件ですので、伝承や地名が残っている可能性もあります。
③「自為王以來少有見者 以婢千人自侍 唯有男子一人 給飲食傳辭出入居處 宮室樓觀城柵嚴設常有人持兵守衛(王となりてより以来、見(けん)有る者少し。婢千人を以(もち)ひ、自ずから侍る。ただ、男子一人有りて、飲食を給し、辞を伝へ、居所に出入りす。宮室、楼観の城柵は厳く設け、常に人有りて、兵を持ち守衛す。)」
上の記事から、奴婢は百人程度と考えられますので何万人も居る大集落ではないようです。卑弥呼は人に会うことを避けていますので、大集落から少し外れて、数百人程度の兵士に護衛された防御性の高い集落を居城とした考えられます(ただし、原文の訳は塚田敬章氏の魏志倭人伝現代語より引用)。
これらの条件に合う場所で卑弥呼の居城の候補を発見しました。 宇佐市安心院町下毛「宮ノ原遺跡」です。日本書紀で三女神降臨伝承のひとつである三女神社が卑弥呼の宮室と考えられます。神社の西側に深さ1m幅2.5mのV字溝があり、その中から銅鏃1個が発見されていますので、城柵で護られており、南側を流れる深見川の河岸の10mくらいの崖の上の台地にあります。宮ノ原遺跡は宇佐市街にある大規模な集落群から少し離れた山間部にありますので、要害堅固な居城です。その西側500mにある「三柱山古墳」が卑弥呼の墓と推定しています(詳細は「卑弥呼の墓は見つかってるよ!」参照)。 これらによって卑弥呼は宗像三女神の主神であった市杵島姫命だと分かりました。宇佐神宮の最も立派な二之御殿に祀られた比売大神で、厳島神社の主神です。卑弥呼が倭国女王というのは行程記事を漢字で書いて魏の帯方郡太守に教えたある人物だと判明しています。上述した政治的な理由で倭国女王としたということです。詳細は「邪馬台国は安心院(あじむ)にあった!」「伊都国の意味がヒントだった?」をご参照ください。長々とお邪魔しました。
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