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学校災害と安全教育(5回シリーズその3)

2013年09月11日 00時00分01秒 | 紹介

 一般に、新しい学科、新しい教科が設けられるためには、既存の学科・教科の時間を割いてまで設ける緊急性と一般社会の要請及び、基盤となる科学の分化発達という三大要素がなければならない。学校安全については緊急性と一般社会の要請はあっても、科学の発達というか学問領域は果たして如何であろうか。残念ながら、学校安全は未だに学校保健の一分野にしか過ぎない。

 学校安全という言葉にしても、僅か十年に満たない。学校教育の領域に安全という言葉が入ったのも昭和33年の学習指導要領の改訂以来であり、各教科に入ったのもそれ以後である。学校保健が、生理学・予防医学・公衆衛生等の発展に支えられて、試行錯誤を重ねながらようやく今日まで築き上げられてきた。その一分野である学校安全は、先輩諸氏の貴重な研鑽の累積がありながら、心理学・理学・医学・生理学等の諸学の境界領域にあり、理論として確立していない未分化の状態にある。
 大学教育においても、安全工学が学科目あるいは授業科目として設けられていても、それは科学における安全であって、工場管理の安全あるいは機械工学・道路工学・建築工学等々の分野の中の安全であって、工学全体を通じての安全工学は確立していない現状である。初等中等教育においても、目標に、社会・理科・技術家庭・職業・保健体育等々でそれぞれの教育内容に即した安全はあっても、各教科及び教育内容を一貫した安全教育の大系を欠いているのが実状である。しかし、現在この面の研究は、交通安全教育を触媒として理論的にも急速に進捗しているのは事実であり、近い将来にその成果が顕れるであろうことは想像に難くない。

 学校安全は周知の通り、安全管理と安全教育とに分かれる。安全管理は学校環境すなわち学校施設の安全管理を主とし、それに安全に関する組織的活動が加わる。学校施設の管理は、校長あるいは設置者の責任である。従来、学校施設=公共営造物=すなわち行政財産の維持保全は校長に善良なる管理者としての注意義務が課せられている。施設を毀損したり、消滅したりすることの無いように、財産管理の面のみが強調され、人命尊重という観念は第二義的であったと思われる。しかしながら、学校施設に管理上の瑕疵があり、児童生徒その他に傷害を与えたり、死亡させた場合には、国家賠償法第二条によって、国又は地方公共団体は賠償の責任を負わねばならない。従って、単なる財産管理よりも重い責任が課せられているといえよう。安全管理の対象は建物ばかりではなく、校地・運動場・体育用具・実験実習用設備・機械器具等であり、これらの適正な維持管理が必要である。(次回へ続きます)