kebaneco日記

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2024年04月28日 | 携帯から(旅先からも)

新大阪駅到着後クロスタに行って、荷物をホテルまで届けてもらう手続きをして、地下鉄で中之島香雪美術館へ直行。北斎と広重富嶽36景への挑戦展を開催中。主人の知り合いの職員の方に聞いたら、先日は入場制限せざるをえなくなるほど、開館以来初めてのことでうれしい悲鳴、とのことだった。

 

小さめの文字は会場の説明書のコピペ。文字認識にやや難ありで気づいて修正したものはあるけど、まだ誤字脱字があるかも。

 


青砥藤綱模稜案

文化9年(1812)

曲亭馬琴、平林庄五郎刊行の読本、鎌倉時代の武青砥藤綱の名裁判によって事件を解決する勧善懲悪もの。伊勢湾を渡る船(巻一)、助けに現れた鍾馗(巻五)、木曽の山岳地帯(巻八)を描きます。北斎の挿絵は変化に富み、馬琴による本文以上に細部にこだわった指写がおこなわれています。

 

 


富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

天保2~4年(1831~33)頃

神奈川沖とあるように、江戸湾から富士山を望んだ図です。まるで生きているかのようにせり上がる波と、向こうに然と見える富士、「動」と「静」の対比が表現されています。大波に翻弄され、船上の人々はなすすべがありません。若い頃から北斎が挑み続けた波の表現の完成形。お見事というほかありません。

 

 


富嶽三十六景 尾州不二見原

天保2~4年(1831~33)頃

現在の名古屋市中区富士見町あたりから、シリーズのなかで最も遠くからの富士の姿です。実際にはこの地からは見えないとも言われます。北斎は名古屋に滞在したことがあり、その時の印象をもとにしたのかも。丸(桶)と三角形(富士山)という幾何学的な取り合わせが北斎らしく、面白い構図です。

 

 


富嶽三十六景 礫川雪ノ且 

天保2~4年(1831~33)頃

礫川とは現在の文京区小石川あたりの風景で、降雪の朝、一面に広がる銀世界に、雪化粧をした富士山が描かれます。雪見のために集った人々が富士を見て感嘆の声をあげています。1人の女性が指さす広い空の方向には、小さく三羽の鳥が描かれ、空間を活かした構成です。

 

 

広重も負けていない。

 

 


名所江戸百景 水道橋駿河台

安政4年(1857)

大きな鯉のぼりが空を泳いでいます。端午の節句の頃、眼下には神田川と水道橋が見えます。遠景には富士山が見え、ちょうどその姿がしっかりご覧いただけるよう、手前の鯉が尻尾をくいっと曲げています。近像型構図と呼ばれる大胆な構図を取り入れた、シリーズの代表作です。

 

 


花尽見立福禄寿寿菊 

天保14~弘化4年(1843~7)

画面いっぱいに無数の菊を描いた団扇絵。江戸時代には大名から町人に至るまで、幅広い層で園芸ブームが巻き起こり、古くから人々に愛されてきた園芸植物である菊も栽培技術が発展したことでさまざまな種類が見られるようになります。広重はこうした植物画や花鳥図も多く描きました。

 

 

その後ランチをとって、徒歩でお隣さんとも言えるような距離にある大阪中之島美術館へ。この辺りには他にも行きたい美術館がある。東京で言うなら、上野のような場所だ。

 

大阪中之島美術館では5/6まで開催中の、福田平八郎没後50年の回顧展を観る。このために大阪に来たのだから気合いは十分。

 

1番最初の写真は、その大阪中之島美術館の外観。遠くからでも目を引く黒い建物、設計は遠藤克彦。ヤノベケンジのシップスキャット(ship’s cat)がお出迎え。船をネズミから守る猫=山門の金剛力士立像、はたまた狛犬か?

 

子供の頃美術全集で見た漣、雨(瓦の絵)の実物を見られて嬉しかったことはもちろん、平八郎の画風がどんどん変わっていく様が面白くて、同じモチーフの違う時代の絵の間を行ったり来たりしてたら、主人とはぐれてしまった(笑)

 
 


漣 1932年

金箔の上にプラチナを重ねた画面に、群青のみで細かに波打ってきらきらとゆらめく水面の表情を描いている。同年に始めた釣りに凝っていた平八郎は、釣り等と写生道具を手に琵琶湖を一周した。そこで誕生したのが本作である。日本画の装飾的伝統に自然観察による写実を融合した本作は、近代日本画の新境地と高く評されている。モチーフや色彩を限定した簡潔な構成はリズム感に富み、抽象絵画ともみまがう音楽的な美しい画面をつくりだしている。

 

 

 

 
雲 1950年

 

近年修復を終え、昭和25年(1950)の第6回日展以降、所蔵館以外では初公開となる作品。深みのある鮮やかな青い空と、わきあがるような白い雲。空の青はプルシアンブルーなどの化学合成顔料が使用された可能性がある。白い雲は輸郭の周囲がやや薄く塗られ、丸みや「奥行きをあらわしているが、陰影表現を抑えて雲の真っ白さを強調するかのようだ。風景画的な雲の描写に留まらず、青と白、空と雲という、色と形が成す形の問題に向かい、前例に依らない象徴的な要を描いている。

 
 
というわけで、今日は両親の7回忌と祖父の50回忌の法要。祖父と同じ年に亡くなった福田平八郎の展覧会を観てから向かうのも、何かの引き合わせかな。

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2 コメント

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Unknown (クラリス)
2024-04-29 09:49:59
目の保養、良いですね^_^
実物見てみたいです。

数年前にシップスキャット(ship’s cat)【って言うんですね^ ^】を博多の中洲で見たことがあります。
【美味しい水炊き屋さんの向かいにあるホテルの入り口にありました】
この猫ちゃん、なんだろうっていう謎が今日解けました。
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Unknown (kebaneco)
2024-04-29 09:59:14
クラリスさま

コロナのおかげですっかり国内旅行の楽さと楽しみ方の多さにハマってます。
シップスキャット、博多にもいってたんですか〜
大航海時代宜しく移動してるんですね。

説明には以下のようにありました。以下コピペ

「シップス・キャット」は大航海時代に害獣から貨物や船を守り、船員の心を癒す友として世界中を旅した「船乗り猫」。旅を守り地域に福を呼ぶ巨大猫のモニュメントです。ヘルメットや鎧は、混迷する世界の未来を見通し、困難に立ち向かう勇気を表します。江戸時代、この地には広島藩蔵屋敷があり、巨大猫は美の蔵を守りながら、地中に埋蔵されるその舟入遺構の記憶を未来へ伝えます。そして河川が大海へ注ぐように、堂島川に面する大阪中之島美術館が世界に向けて情報を発信しようとする象徴でもあります。
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