kebaneco日記

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若冲に呼ばれて3

2021年08月17日 | チェロ&アート

今回の当初の最大の目的地であった福田美術館。ようやく辿り着いた(苦笑)。たどり着く前に充分満足している不思議さ。京都、薄々気づいてたけどやっぱすごい(笑)!

 

 

比較的こぢんまりした美術館なのは、この受付のサイズからも想像できるかも。でもなんと1000円のデポジットで人数分の音声ガイドを貸してもらえ、写真も撮り放題という気前の良さ。

 

さて、参ろうぞ。

 

竹図 大典禅師が竹から龍を連想した賛を書いている

 

こちらは池大雅の菊花図、大典禅師の賛あり

 

高遊外 石川永庵宛て書簡

売茶翁こと高遊外はライジング若冲にあったように、大典禅師とともに最初に若冲の才能を見抜いた人。池大雅とも交流があった。この書簡は通円という人物の肖像画に賛をという依頼に「歳をとっているし字が上手くない」と言い訳して(笑)断っている書簡。

 

若冲の霊亀図 耳があるぞ〜、イタチじゃないのか〜、みたいな

 

蕪に双鶏図

若冲30代初め最初期の作品、この頃はまだ、錦小路市場の青物問屋「枡屋」の長男として家業に従事していた。ライジング若冲では、大典禅師の目に止まった作品として描かれていた。80代になって描かれた雄鶏は躍動的に描かれ、雌鶏は比較的手抜き(苦笑)。それと同じ特徴がすでにここにある一方で、年を経るごとに徐々に背景が単純化され余白すらもデザインの一部となり、感じさせる広がりが無限になるのとは対照的に、ここでは蕪が超写実的に描かれている。ここからあの群鶏になるのかぁ〜と拝見した。

 

群鶏図押絵貼屏風

 

主人に「あの人がいなくなるの待てなかったの?」と笑われた。あたしだったら、しばらくあそこに居座って、近づいたり遠くから鑑賞したりするだろうから、ちょうど真ん中に立ってる時に撮影する方が正解だと思ったんだよね〜。って言い訳ですわ、おほほ。でもそのくらい空いていた。こんなことがあっていいのか?っていうくらいに。

 

ちなみにこの作品は近年新たに確認され、修理後初のお披露目となった、若冲82歳の作品。

 

一枚ずつ右から観ていきましょうぞ

勢いを感じる一方で、コミカルでもあり、いつまででも観ていられそうだった

 

同時代の絵師の作品も豊富に展示されていた。本当に豪華な展覧会、しかも入場制限のおかげでストレスなし。一つ一つの作品に音声ガイドがあり、頭の中で整理したり比較したりしつつの鑑賞は、望外の贅沢。

与謝蕪村の老松図屏風 66歳の時の作品

 

与謝蕪村 猛虎飛瀑図 52歳の時の作品

 

観たことのない虎を描く気持ちってどんなものなのだろう?しかもこのトラ、すっごくいたずらっ子っぽい怖くないお姿なんですけど〜。

 

円山応挙 竹に狗子図

ころころしていて戯れ合う姿がとにかく可愛い。紀州犬がモデルと言われている。「竹」と「犬」は漢字を組み合わせると「笑」という字に似ているので、「一笑図」とも呼ばれるそうだ。

 

池大雅 山中娯楽図屏風

 

よぉ〜く見ると、大きな建物の中で操り人形の劇が演じられてる。樹木や岩は南宋画の技法で描かれてるんだけど、細かいところにくすっと笑える楽しい一枚だった。

 

廊下の先のライジング若冲をテーマにした部屋に、こんな展示もあった

 

円山応挙は好き嫌いが激しい人だった模様で、画風からは違和感(笑)

 

今回はもちろん若冲がお目当てだった。18世紀の京都は与謝蕪村(若冲と同い年)、池大雅、円山応挙など誰でも知ってる絵師が揃っていたんだなぁと改めて感じることができた。それぞれが魅力的、それぞれが独自の画風を持ち切磋琢磨して、やっぱ京都ってすごいね。

 

あ”〜、なんと陳腐な総括(苦笑)。若冲さまが墓の下で暴れておられるやもしらん。でも、お呼びいただき感謝ざんす。また一生懸命働いて、コロナが収まったら知ってる京都のアップデートと、未だ知らない京都を発見に参りましょう。

 

追記:今回の展覧会のチラシ、会期が終わるとアクセスできなくなるかもしれないのでここにアップしておこう。最初のが相国寺のもの、残りの2枚が福田美術館のもの。クリックすると大きくできるのじゃ。

  

 

 

 

 

 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わ~~ (よう)
2021-08-17 07:11:53
呼ばれたんですね。
解説を聞きながら 写真撮り放題って!
何回通っても ますます面白いでしょうね。
ご相伴にあずかり ありがとうございます。
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kebanecoさんへ (くりまんじゅう)
2021-08-17 12:57:06
若冲の『群鶏図』をNHK特集で見て 細部まで緻密に描かれた鶏に
写真がない時代に 山下清みたいに一瞬で脳に記憶したのか
と感心したことを思い出します。

そして猛虎図では 実際に見たことがない虎を
猛虎というイメージではなく かわいい虎に仕上げた
というところに親しみが持てます。

若冲の絵は墨絵のようなものもあるのですね。
いつか本物を見たい と増々思います。
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Unknown (keba)
2021-08-17 21:08:01
ようさま

呼ばれてることに気づけてよかったです。帰京した翌日地下鉄が水没(苦笑)、ぎりぎりセーフでしたから。

この12ヶ月で3度目の京都でしたが、何度も通いたいと思いました。
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Unknown (keba)
2021-08-17 21:26:27
くりまんじゅうさま

あんな躍動感のある鶏を迷いのない筆で描けるのは、まさに天才、だと思います。猛虎図は確かに可愛いですね。

京都は逃げませんし、若冲もいなくならないと思います。でも呼ばれたら是非是非いらしてください。

福田美術館にも、相国寺にも、細見美術館にも若冲はいますから
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見に来た!w (tsubone)
2021-08-18 16:12:49
ワタシのバカバカ
ここ2,3日の家庭内バタバタでこのページ見逃しておりましたです
群鶏図 いいですねえ
若いころのひたすら写実的なのもいいけど
余分なものがそぎ落とされててそれでいて勢いがある そこに自信と余裕が感じられるというか・・・
京都、行きたいなああ
オットも多分ご主人様と同じ大学に国内留学してたことあるんですよ
出町柳のきったない下宿に住んでました
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tsuboneさま (keba)
2021-08-18 16:43:30
すみません、お呼びたてしまして(苦笑)。

群鶏図、特に晩年のそれは若冲の一生がぎゅっと詰まった感じがします。京都、よろしゅおすえ〜

え〜、そうなんですか?!偶然じゃぁ〜
ちなみに出町柳にはあたしたちが今回お邪魔した西角があります。徒歩圏内には相国寺もあるし、センチメンタルジャーニーできますえ〜。

それとね、プライスコレクションの若冲、去年半分くらい出光美術館に移ったんですよ。今年はコロナだから予定されていた展覧会は中止になっちゃったし現在閉館中ですが、今後は丸の内でも若冲が見られる予定です。ご参考まで。
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