これはショートの皆さん。なのでまあイメージにみたいなもんで。
レース開始のホーンとともに体中の筋肉が一気に硬直する。一列目のスイマーが競るように海原への旅立ちのダイブを敢行していくのについていき、1000メートルの旅路の始まりだ。岸を鈍角120度頂点とした二等辺三角形
せいぜい50人程度の参加者で、運営側もわざわざ10人一列にならべていたこともあり、お隣とは適度な距離。そして、ガツガツ競る様子は皆無。
よかった泳ぎに専念できる
この時点でレースの半分は終わったようなものだ。何故ならあの殴る蹴るのあほなバトルは終わったのだ。始まることもなく。それに今の自分は泳ぎながらでも次の二つを心で反芻することもできるのだ。
⋅大きいフォームで泳ぐ
⋅がんばらない
前者は波打つ海水泳のセオリーなのは周知のもの。後者は作家の高野秀行氏がサハラマラソンに挑むときに受けたアドバイスで、極限状態での頑張ってるという自覚=往々にして無理をしているので気を付けろ、というもの。
ただでさえレースは5年ぶり、ウェットなしのオープンウォーターは10年ぶりなのだ。力むなというほうが難しいはなしなのですが、幸運にも静かなレース入りにより脳も呼吸も落ち着いてのストロークだ。
事前アナウンス通り、うねり寄せてくる波がそこそこ強い。が、大きめのストロークだと何も怖くないし十分な推進をしている手応えは間違いない。確かに波はあるけど台風一過で太平洋に向かっていった2005年の日和佐大会とかに比べれば想定内だ。右斜め前から寄せる波と逆の左呼吸と、プールではうまくできていなかったヘッドアップも完璧だ。
いける、これなら
俺ってもしかして泳ぐの上手なのかも、なんて調子に乗ってしまいそうにブイをターン。ここからは海岸線を右手に平行に進むブロック。左から波が来るので右呼吸と、透き通って見える海底に続く岩礁の先を追いかけていくことで、安定した巡航を目指すのだ。
やはり波を意識し過ぎてしまうのか、蛇行してしまうのはブランクのためなのか。思うほどは真っ直ぐすすめない。何度もヘッドアップを繰り返してのスイム。これまでの経験だとこのへんで腕の振りが鈍くなるのに、今日はそこまでしんどくないのはやはり十分な準備ができたため、でしょうか。考えてみればひと月足らずで30kmを超える泳ぐ量って経験はない気がする。
あっさりと2周目に突入で半分が終了。時間もなにもわからず正直うまくいっているのかはわからないのですが、息が荒れておらず、感触は上々。距離短縮の関係でほんとなら3分の1の行程なのですがしらんよそんなこと。
2周目もこれまでのペースを踏襲なのですが、進みの鈍化はそれなりに感じはじめてきた。波は変わらず荒く、徐々に体力はすり減ってくる感触はあるのですが、キックでビート刻んで前に進めばいい。今日はトライアスロンではないのでバイク40kmなんてやる必要はないのだ。
最後のブイをターンするときになぜかたっぷりと海水を堪能してしまうのですが、雑味もいやなスメルもない素敵な塩水でしたってなんの海水ソムリエなんだおまえはってはなしですが、。
おおよそ20分ほどの短い時間でしたが、久しぶりのスイミングをエンジョイできた満足感とともにトランジションへ。