5月19日(金)
21時 娘はTV画面をじっと見つめた。
共謀罪国会審議。
抗議デモ。
娘は呟いた。
「何の関係もしないのに、一般人は
あんなに大騒ぎするの」?
私は、チラリと娘を見た。
何も答えなかった。
「お前が生まれた時、会社を追放になったのだよ」
「思想的問題あり、会社を破壊する危険思想を従業員に扇動する書記長の
レッテルを被せた」
全共闘世代だが、政治運動には、全くの無関心
山登りに4年間明け暮れた。
卒業後、乳業メーカーに入社。
入社式では、新入社員代表で決意を述べた。
しかし三か月で退社した。
将来への不安と感ずることもあったが
二つの労働組合があり、互いに闘争と反目をしていた。
牛乳を積んだタンクローリー配達阻止行動は
車の前に、横たわる。
電車走行を妨害するため、トラックで塞ぐ
衝撃だった。
将来の幹部社員としての嘱望は消え失せた。
転職した会社でも、中途入社、低学歴で存在感は薄かった。
順番で回って来る組合役員になった。
書記長の成り手がなく、考えもせず引き受けた。
今までの、閉鎖的な組合執行部から
全国的な組織変更をして、全国大会も開催した。
経営側との馴れ合い、密室協議、を拒否。
常識ある団体交渉で会社と対峙した。
しかし、経営側は、危険思想とみなした。
親会社への媚と自らの出世保身から
現場を見ない抽象論は説得力がなかった。
経営側労務担当者は、自らの無能を
国家テロでなくとも、一般社会、組織であっても
歯向かう輩は、共謀罪で追放するか。