to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

ゆれる

2007-02-23 23:46:28 | the cinema (マ・ヤ行)
2006年:西川美和監督
出演:オダギリジョー/香川照之/真木よう子/伊武雅刀/蟹江敬三

地元で家業を継いだ真面目な兄・稔(香川照之)。東京でカメラマンとして自由に生きる弟・猛(オダギリジョー)。久しぶりの弟の帰郷で、兄弟は幼なじみの智恵子(真木よう子)と一緒に近くの渓谷に出かけ、そこで兄と吊り橋を渡っていた女性が転落して死亡。稔は容疑者として逮捕される・・・

猛が帰省した晩、一人洗濯物をたたんでいる兄の背中越しに、兄弟が女性への思惑を探りあう場面が印象的。
最初にスタンドに寄った時には、智恵子に気付かれまいとしていた猛が、兄との息の合った様子を見てその日のうちに彼女を誘う。
そして家にいて父の面倒をみ、家事を片付けながら兄は弟に探りを入れる。
この時から兄弟の絆はゆれ始めたのだろう。

おそらくは昔から心の底にあっただろう兄の、弟への羨望。弟の兄へのライバル意識。甘え。
吊り橋を渡り、欲しい物を手に入れる自由な弟。吊り橋を渡れず、周りに気を使って生きている兄。
兄の逮捕後、面会でのやりとりでの二人の演技が素晴しい
抑えていた兄の心の闇が噴出し、諦めや嫉妬、やりきれない怒りをみて、弟はショックを受け激しくゆれる。

7年後、母の形見分けのとき兄から貰った映写機とテープを観るオダギリジョーには泣かされる
そして通りをへだて、弟を見つけた時の香川照之の一瞬の笑顔にも


過剰な演出を抑え,無駄なエピソードも無い。丁寧な脚本に静かな演出が逆に観客の心を揺らす。
主役二人の演技が素晴しい
熱いものがこみあげてくるそんなラストシーン。とてもいい映画でした

暗いところで待ち合わせ

2007-02-23 01:44:52 | the cinema (カ行)
何度も観に行こうとしてはチャンスがつぶれて観れなかった『暗いところで待ち合わせ』
ついに観てきました♪

 3年前の事故が原因で両目の視力を失くし、実の父親も病気で亡くしたミチル(田中麗奈)。世間から取り残されたように1人静かに暮らしていたある日、ミチルの家の近くにある駅のホームで殺人事件が起こる。やがて、容疑者の青年アキヒロ(チェン・ボーリン)がミチルの家に逃げ込み、奇妙な同居生活が始まってしまい……。 (シネマトゥデイ)

突然光りを奪われてしまい、何事にも消極的なミチルの奥に潜む喪失感を感じ取ることが出来
祈るように見守ってしまいました。
田中麗奈ちゃん本当に上手いです
息詰まるような沈黙の中にも、なぜかしら温かい空気が流れているように感じたのは
冷蔵庫の牛乳をコップで飲んだアキヒロに好感が持てたからかも
怒りと不安と優しさが入り混じったチェン・ボーリンの眼も好かった

息を潜めて存在を消していたアキヒロが、彼女の危機に思わず助けてしまうシーン、
孤独なふたりが感謝の気持ちを秘めて
言葉も無く静かに食事をとるシーンがよかった

最後のほうでアキヒロの「ボクが欲しかったのは~・・・」は究極の愛のことば、愛の告白ですね
素敵な台詞でした。
期待を裏切らない、優しいラブストーリーに満足

東京で、たった1ヶ所だけ上映していた「三軒茶屋中央」
事前の知識がなければ辿りつけなかったかも
何十年かタイムスリップしたかのような趣の映画館でしたが、行って良かったです
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チェン・ボーリンくん、今週末のテレビドラマに出るようですね
『たった一度の雪』
TBS系 2月25日 日曜日14:00~