to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

ブタがいた教室

2008-11-05 23:54:41 | the cinema (ハ行)
“いのち”の長さは
誰が決めるの?

製作年度 2008年
上映時間 109分
原作 黒田恭史 『豚のPちゃんと32人の小学生』(ミネルヴァ書房刊)
監督 前田哲
音楽 吉岡聖治
出演 妻夫木聡/大杉漣/田畑智子/池田成志/ピエール瀧/大沢逸美/戸田菜穂/原田美枝子

1990年に大阪の小学校で実際に行われ賛否両論を巻き起こした授業を映画化。食育といのちの大切さをテーマに“子ブタを自分たちで飼育し自分たちで食べる”という実験的な実践授業に挑んだ新任教師の星先生と26人の生徒たちの1年間を見つめ、最終的にブタの処遇を巡ってクラスを二分しての白熱の議論を戦わせるさまをドキュメンタリー・タッチで綴る。
4月。6年2組の担任となった熱血新米教師の星先生は、ある大胆な授業を計画していた。それは、生徒たちに生きているものを食べるということに真剣に向き合ってもらおうと、最終的に自分たちで食べることを目的に、1年間クラスでブタを飼育してみようというもの。星先生の熱意が伝わり、校長から学校でブタを飼う許可も無事取り付け、星先生と26人の生徒たちによるブタの飼育が始まる。生徒たちは子ブタを“Pちゃん”と名付け、一生懸命世話して可愛がるようになるのだったが…。

最初にこの作品は、映画の半券がベル・マークになります。という説明文が出ます。
映画としては初の試みだそうで、
お子さんがいらっしゃる方は是非お子さんにあげて、学校に持たせてください。
不景気の折から、いろんな製品からベルマークが消えていきました。
卒業までの数ヶ月でもうこんな映画はないかもですが、学校の教材の何かになってくれる半券です。

何時だったか、それが何処だったかさえ覚えていないのですが、テレビの特集で観たことがあります。
ある外国の孤児院では、牧師さんが子供たちと家畜をかわいがって育て、
自分たちでそれを捌き、食料としていくのです。
施設の子供たちは可愛がりながらも、やがてそれが食卓に上がることを考えながら
心を込めて面倒を見、感謝しながら食べ、また次の他の動物の世話もします。
命を戴くこと、「いただきます」に感謝を込めるという事を生活の中で教えていくこと。
―その番組を見た時に、正直ショックを受けた自分に驚いたというか、情けないものを感じたことを覚えています。



この物語は、6年2組の担任となった新任の星先生が、1匹の子豚を連れてきて、
このブタをみんなで育てて、大きくなったら最後は皆で食べようと思っています
との提案に、「えーーっ、食べるのぉ?」なんて言ってた子供たちは、
皆で子豚を育てるという事に飛びつきます
校庭に早速子供たちだけで小屋を作り、食事の調達から排泄物の世話を、
最初は嫌がっていた子もそうでない子も、自分たちで楽しみながら育てていきます。
その過程で、トマト事件とか、小さな事は起こるのですが、
みんなで1つの命を育てることによる連帯感も生まれ、子供主導でやがてPちゃんと名づけられたブタは
まるまると大きくなって秋を迎えます…



卒業式が近づくにつれ、子供たちは結論をどうだすか、真剣に考えます。
―食べるか、食べないか。
―殺すか、殺さないか。
命について、命を育てること、責任を果たすということ―

飽食の時代に生まれた子供たちの、セリフじゃない生の声を感じられます。

子供たちの、Pちゃんへの接し方、その子供への教師としての接し方。
いろいろと感じながら最後は、最後の1票を託されたら?
自分ならどうしただろうかと思いながら観ていました。

そのテーマとは別に、手も出さず、口も出さず
子供たちから目を離さず、見守ること、そういう教師がとても良かった
と感じました。
子供はブタを見守り、教師は子供を見守り、校長はそんな教師を見守り、導く…
生き物が相手だと、思い通りの結論になんかならない。改めてそういう事を感じます。
現役のたくさんの先生方や、教師を目指してる方に観てもらって、
学校で子供たちと一緒に観て欲しい作品だと思いました。

妻夫木・星先生、と~っても良かったです