脚本 藤本有紀
演出 柴田岳志
制作統括 磯智明
音楽 吉松隆
語り 岡田将生
出演 松山ケンイチ/深田恭子/窪田正孝/松田翔太/岡田将生/森田剛/塚本高史/杏/遠藤憲一/上川隆也
第38回 「平家にあらずんば人にあらず」 %
後白河法皇と宋人との面会を成功させた清盛は、宋船を福原に入港させようと考え、大型船が入れるように大輪田泊(おおわだのとまり)の改修工事を兎丸に急がせる。
京では、清盛から「都でつとめを果たしてくれ」と言われた時忠(森田剛)が「禿(かむろ)」と呼ばれる身寄りのない子を密偵として町中に放ち、清盛に異を唱える者を容赦なく断罪していた。
今回は、着々と武士の世の国作りの為に上り詰めていく清盛の次なる一手と、
平氏の力に次第に現れてくる敵の姿、それをどのように封じていたのかと云う所と、
身内の中にも波風が立っていく様子を感じつつまい進する清盛の姿を描いたものでした。
大輪田泊のメドがついた頃、京で時子が倒れたとの知らせに、急ぎ帰京する清盛に、
摂政襲撃以来、大納言職を辞して引きこもりとなった重盛のこと、
禿を使った手荒な取締りをする時忠のことを時子は訊ねます。
「あれこれと気をもませてすまぬな。されど今はこらえてくれぬか? 何かを成し遂げるためには、憎まれる事をいとわぬ覚悟が要る」と云われれば、
「殿の目指す国創り。行き着く先はどんな形をしているのですか?」
どこまでも殿を信じてついていくわ、と覚悟の時子さま。
久しぶりの一門が揃った席で17歳になった徳子に清盛は目を留める。
高倉帝に嫁がせる旨を暗に告げるのでした・・。
宋から手に入れた羊を後白河法皇に贈り、高倉天皇に娘・徳子を入内させたいという清盛に、後白河はホラ勝負を挑むが、清盛はコレを保留。
後日法皇と建春門院(成海璃子)を共に福原に招き、清盛は先日の答えを出す。自分の喰う大きなものを「己の野望だと」いう。
ならば!という後白河の後出しジャンケンにも負けない清盛にウンという結末が。
八条院子が撒き散らした「疫病は平氏の持ち込んだ羊のせい」という悪評も甲斐なく
徳子は高倉帝に入内することとなり、喜びに沸く平氏一門。そして、
これを機に家に籠っていた重盛も権大納言へ復帰します。
「平家に生まれたからには、女であってももののふ。きっと見事に役目を果たします」と言う徳子を頼もしそうに見つめながらも、
「かつては私もかような装束を身につけ、宮中に入る事に憧れておったものじゃ…。されど今ではこれが次なる戦支度のように見える」と、何事か予感させる時子母。
しかし平家を貶める噂を見過ごせない清盛は――時忠に命じていたのですね。
禿を引き連れ八条院の配下を締め上げる現場に、なんと兎丸が現れ、非難します。
すると、ここであの有名な台詞が時忠によって発せられる―…
―平家にあらずんば 人にあらず・・・
姉時子は、娘を高倉帝に入内させ、
妹・滋子は後白河院のその嫡男を産んだ建春門院門。しかし、
その兄の時忠は、清盛の為に汚れ仕事を一手に引き受ける役回りとして描かれていて、
胸が塞がれる独り言の様なセリフに、哀しい響きがありました。