原題 Le Grand Cahier
製作国 ドイツ/ハンガリー
上映時間 111分 映倫 PG12
原作 アゴタ・クリストフ 『悪童日記』(早川書房刊)
監督 ヤーノシュ・サース
出演 アンドラーシュ・ジェーマント/ラースロー・ジェーマント/ピロシュカ・モルナール/ウルリク・トムセン/ウルリッヒ・マテス
第2次世界大戦下、双子の兄弟が「大きな町」から「小さな町」へ疎開する。疎開先は、村人たちから「魔女」と呼ばれる祖母の農園だ。僕たちは、粗野で意地悪なおばあちゃんにコキつかわれながら、日々の出来事を克明に記し、聖書を暗唱する。強くなることと勉強を続けることは、お母さんとの約束だから。両親と離れて別世界にやって来た少年たちが、過酷な生活のなかで肉体と精神を鍛え、実体験を頼りに独自の世界観を獲得していく。
この作品では、少年2人の名前は明かされない。
「魔女」は彼らをメス犬の子供と呼び、母親もまた名前で呼ばないからだ。
そして、二人きりになった「ぼくら」の日記がめくられていく。
淡々と、無感情な「ぼくら」の過酷な日々が…―
父の教え、母の願い、それを守りながらも、
それよりも二人で決めていくルールで、大きなノートには、
一心同体の2人が目にし、成したこと。その事実のみが映され、記されていくのです。
↓以下はネタバレを含んでいます。
ハンガリーの国境付近の、周りを樹や畑で囲まれた、郵便配達以外近づかない農家。
毎日逞しくなっていく兄弟は、そこで空腹で動けなくなった兵士に出会い、
少し頭の弱い少女と出会い、
教会に行きつき、、司祭館の女と出会う…―
「“汝、殺すなかれ”っていうけど、みんな、殺してる」
悪びれもせず、司祭に向かって彼らは言う。聖書なんかもう暗記してしまうほど読んでいた。
痛さに屈せず、襲い来る不条理に立ち向かう準備もしていた。毎日...。
何としても生き抜く為に、窃盗や恐喝などを覚え、その一方で、
餓えた者、弱き者を援けるという・・・かれらの中の正義。価値観。
両親と離れて疎開先で生きる少年たちは、何を得て、、何を失ったのか?
また、何は失わずにいられたのか?
彼らの課題の、最後のテーマ・・・
予感はありましたが、もうひとつの方は予想外で、、
何とも云えない想いで胸がいっぱいに......
そして――唐突に思い出すのですよ、、最初の方で父親が言った
「双子は目立つ」......
最後まで厳しい試練を自らに課す、生き抜くために。
矛盾と不条理に溢れた現代社会は、
親の都合で離婚し、また勝手に再婚とか、、挙句、子供をないがしろにする大人は後を絶たず・・。
彼らの目にどう映っているのだろうか?
戦争という事を抜きにしても、この生き難い世を、子供だけで生き抜くとしたら??
どなたにもオススメの作品とはいかないけれど、
鋭く突き刺さる、子供の問いかけ。
ちょっとシュールな戦争ドラマですが、私は結構好きな作品でした。
少年たちのその後、を祈らずにいられない.....
映画も十分、そのタッチを表していたと思いますが、やはり本はすごいっす。
続きも読み込んでて、彼女が読み解いた真相・・なんてのもあるんですよ。
続編が途中なんで、何とも言えないのですが、ぜひ続きも描いてほしいです。
>そして――唐突に思い出すのですよ、、最初の方で父親が言った「双子は目立つ」......
最後まで厳しい試練を自らに課す、生き抜くために。
そうそうこれ本当に思いました。
なんか全部が初めにもどったような気がしました。
私もすきな作品でした。
やはり本はスゴイですか!?
舞台が特殊な時代、というのもありますが、
今、親子間の事件があまりにも多様化してきている現代にも
十分通用する少年たちの親子関係だと感じました。。。
深いところに痛みを感じさせる作品でしたよね~。
少年たちの行く末、その後の物語に興味があります。
映画の方も、十分インパクトのある双子の姿でしたよね~
そぎ落とされた少年たちの成長の過程が、
なぜか現代のオトナの在り方を振り返ってみたくなる、、、
モノが溢れている現代社会の片隅にも、彼らはいるような気がしました。。。