女装子愛好クラブ

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『セーラー服下着調べ』②

2024年10月23日 | 女装小説
 学校側の配慮もかけていた。教師はいじめる側の生徒にはとおりいっぺんの注意をするだけで、「いじめられる子にも責任がある」というようなことを平気で言う。春樹は親にも教師にも頑強に抵抗して、一日じゅう家にとじこもって、本を読んでいるか、フアミコンに熱中するかしていた。
 ちょうど、姉のミドリが白萩女学園の指導主任と衝突し、ついには転学勧告を受けるなど、そっちのほうのてんやわんやがつづいた。両親も、息子の二年ごしの登校拒否問題にはお手あげで、教師との話しあいも一時的に棚あげしている状態だ。
 ミドリは反抗的精神ばかりでなく、成績のほうも抜きんでて良かったから、別の名門私立女子中に転校することができた。ただ、通学時間がいまの倍以上になるので、都心の親戚の家に下宿して通うことになった。
 春樹は、自分と追って気が強く、活動的な姉が好きだった。子供のときからおとなしい弟をかばってくれたし、悩みごとの相談相手でもあった。その姉が下宿することになって春樹は気落ちしてしまった。
 ミドリが家を出ていったあと、春樹は、家のゴミを捨てるポリバケツに紙袋が投げこまれているのを見つけた。袋の口からチラと見えたのは、白萩女学園のセーラー服だった。ミドリはもう着ることもない制服を、夏服冬服ともに潔く捨てていったのだ。
 それを見た春樹は、胸がジーンと熱くなった。彼は、そのセとフー服を着た姉の姿がとても好きだった。彼女が転校した先の学校では、制服がブレザーなので、ひどくがっかりしたほどだ。
 (姉さんの思い出を守ってやる……)
 春樹はそう思い、姉が捨てたセーラー服をこっそり拾い、自分のタンスの奥にしまいこんだ。時々ひろげてみては、白萩女学園時代の姉をしのんで眺めたり触ったりしていた。
 そのうち、ただ眺めるだけではあきたらなくなった。自分で着てみたくなったのだ。
 (姉さんの思い出を汚すような、ヘンタイみたいなことをしちゃいけない)
 そんなふうに思って自制はしてみたものの、姉の体臭がしみこんだセ土フー服を身に着けたいという欲求は強まるばかりだった。とうとうある晩、自分の部屋でこっそりと夏のセーラー服を着てみた。
 (えっ、これがボク・・・)
 春樹は、自分の姿を大きな鏡に映してみて、全身が震えるような嬉しい驚きを味わった。
 そこに立っているのは、髪こそ男の子みたいだけれど、姉のミドリとよく似た、おそらく彼女に妹がいたらこんな少女だったろう-と思われる美少女が、はにかむように微笑んで、彼を見つめていたからだ。
  出所『セーラー服下着調べ』 館淳一著  マドンナ社 1991年刊
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