ミクロもマクロも

心理カウンセラーが気ままに書き続ける当たり前

その名は”イオリ”

2005-01-07 23:15:09 | Weblog
        ◎ 本日のキャスト
   
      イオリ・・・近所の酒屋の人
      トシコ・・・近所の主婦
        私・・・イオリの会話相手

「今晩は。久しぶりねえ、就職決まった?」
「それが、まだなんですよ。それなりにインターネットで色々当たってる
んですけど」
「景気が上向きって言われてきだしたけど、難しい?」
「ええ、なかなか難しいですね」
「ここのお店があるって言うのが、ちょっと良し悪しなのかもねぇ。跡を
ついでもいいかなって、ね」
「そうなのかなあ?」
「ウ~ン、でもね、焦らなくてもいいんじゃない?」
「そうですかあ?僕、子どもの頃から、学校が好きじゃなかったんですよ」
「なんで?成績がふるわなかったとか、いじめられたとか?」
「まあ、色々とありまして、学生時代ってイヤでしたね」
去年、仏文科を卒業した、近所の酒屋のお孫さん。
「安定が欲しいんですよ。まわりをすごく気にするタチで」
「そうなの? 最近、息子の1人がどこかに就職したみたいなのよ。定期券
なんかもってね。それを知った,北海道の競走馬の牧場にいる弟が『堕落したな』
って。ねえ!って、言う私よ」
「ええ?そうなんですか?」
「ウン、なんか、すぐわかっちゃうのって、つまんないじゃない?ミステリアス
じゃない、人がすぐ想像出来ちゃうなんて、面白くな~い、なのよ、私って人間は。
子ども達も。まあ、普通に言うまっとうなのは主人だけかも、我が家では」
「そうなんですか?」
「ええ、それからね、人間が傲慢になりすぎて、資源を食い散らかして、地球が
悲鳴を上げてるって、思わない?発展途上国の子供達が、みんな成人したら、地
球はパンクよ。ユニセフの行動も、痛し痒しで、自己満足くらいの認識の上での
行動にしなきゃね」
「ホント、そうですよね」
「そろそろ物々交換の時代に戻った方がいいって、思うし、もっともっと自然に
直接触れながら生きないとね。なにかがあったら、第一次産業に携わってる人し
か生き延びられない。インターネット?それがどうした?になっちゃうような事
態に近い将来なるって思うのよ」
「そうなのかなあ?」
「軸はずれてるって言うし、何が起きてもおかしくはない地球らしいからね。そう
した主犯はアメリカよ」
「それは言えますね」
「それでね、かの9,11事件は、あやうく身内も巻き込まれそうになったんだけど、
もちろん犠牲になった人は可哀想にって思ったわよ。けれど『あんた等は,よその国
で、どれほど殺してきた?ガタガタ騒ぐんじゃないよ!』って、瞬間思ったわね。
アメリカ人の、地球は自分たちの物と思ってるとしか思えない傲慢さに、思わず思っ
ちゃったのよ」
「そう思われました?僕もそう思いましたよ」

「そして、人間が傲慢になったら、文明は必ず崩壊するのよ。産業革命のツケが今出て
きてる。そう思うでしょう?40数億年の地球が、たったの、この200年で、ズタズ
タよ。地球は悲鳴を上げてるわ」
「ええ、本当にそうですね」

「そして、あなたは、ネガティブに物事を考える日本人の、見えない糸に操られチャダメ
なのよ。完ぺき主義者の日本人は、子どもや、これから進もうとする若者の行く手に、
希望の灯なんか掲げちゃあくれないんだから。だってそう思わない?『世の中そんなに甘
くない』『一寸先は闇』って、もう希望もへったくれもない事を平気で言うでしょう、
親もまわりの大人達も。残酷な事を平気で言うし、人の未来を平気でグジャグジャにする
根性悪ばっかり、ゴロゴロいるでしょう。なんなんでしょうねえ、私が思うに、そう思う
人は、そのような生き方しかしてこなかったって、ことなのよ。だから、そんな言葉に怯
えちゃダメよ!無視しなきゃ!未来は明るいのよ!」
「でも、僕は、みんなの目が気になって仕方ないんですよ」
「それは、あなた自身に対して申し訳ない事よ。私は2回の開頭手術で、命も危ないって
状況だったし、麻痺もあったし、色々不都合な事もあって、絶望しかけたのよ、その苦し
みの果てに辿り着いたのが『もう、2度と他人に体は触らさない、医者にかかるような病
気にはかからない、わかった?!』って、自分に言い聞かせてるのよ。日々、いつもね。
今日も、体調がすこぶる悪いのよ。だからって、医者なんかにゃ行かない。自分に約束し
たんだから、絶対に自分の可能性を信じて、自分に言うのよ『フ~ン、今度はこの手で来
たの? お生憎様、うろたえたりしないのよ。だから、さっさとどこかへ消えてしまいな
さい!』って」
「大丈夫なんですか?」
「ええ、信じるって、そういうことなんじゃない?」
「・・・?」
「そしてね。私は子ども達にも言ってきたんだけど、小学校の頃例えば、試験の点数が60
点だとするでしょう、そうしたら『ワォ、あと40点も取れるじゃない!頑張ってみよう』
これは長男に。次男は1を聞いて10を知るって子だったから、『ママは、100点取る事
よりお友達がいっぱいいる事の方が大事って思うのよ』ってね。ねえ、あなた以外の人間に
はなれないんだし、自分を信じきれない人が人の事なんか信じられる? 日本人は、伸びよ
うとする人の足を引っ張る、出ようとする人を押し潰そうとする。昔から出る杭は打たれる、
って。日本人の根性悪の一面をいいえてるわね、悲しいけど。でも、ホントそれが世間かも
知れないけど、出すぎた杭は打ちようがないでしょ?なら、その杭にならなきゃ。そして、
絶対に助けてはくれないのが世間なんだから、そんな得体の知れないものに怯えて暮らすな
んて、すっごく自分が可哀想って思わない?」
「・・・・・」
「誰かが提示する、みんなが是とすることが、あなたにとっていい事かどうかわからないん
だから、そんなものに自分を合わしちゃダメよ。だけど、本当に自分をいとしく、大事って
思うなら、毛の先ほどの疑いも持たないこと!あのさあ、信じることとか、待つこととかって、
期限なんかないのよ。だって、死ぬまでが人生でしょう?一生信じきる事、待ちつづけること。
そう思わない?」
「ハ~~、こんなこと言われた事なかったから、ちょっとショックです」
「そう? とってもシンプルな話でしょう?」
「ええ、・・・大体この時間あたりになると、ちょっと気持ちがふさぐんですよ」
「そう、夕方はそんな気分になりがちなのよね。ごめんなさい、私はちょっと炭酸飲料を買い
に来ただけなのに、引き止めちゃったわねえ」
「いえ、こんな話が聞けるなんて、思ってもなかったから・・・・」
「少しは気が楽になった?無期限なのよ、可能性が出てくるまでの期間は。今まで遠慮してた
のかもね、本当のあなたの可能性が。そうなのよ。だから、まず自分を愛してね。1点の曇り
なき信頼を自分にね、諦めないでね」
「・・・嬉しかったですよ」
「そう思ってもらえたら、私は、人生の先を歩くものとしての仕事はチョコッとしたのかもね。
又、機会が会ったらお話しましょう」

2~3年前に、彼の名前がイオリ君と知った時、
「ワ~、いいお名前を持ってるのねえ。どこから来たかご存知?」
「ハイ」
「宮本武蔵の息子よね、伊織って」
「ええ、そうみたいですね」

その後、チェーンスモーカーだった私が、サラ~~ッて禁煙しちゃったから、その酒屋にタバコを
買いに行く事もなくなって、遠のいていたところへ、久しぶりに自販機の前で会って、この会話。
本当に、大人としての責務の100,000,000の1くらいは果たしたような気分になれて、
そんな機会を与えてくれた彼に感謝。
缶チュウハイ1本持って、プラプラ帰ってくる途中に、知り合いの主婦、トシコサンが、お家の前で、
老衰犬の相手。
去年の9月から、暮れにかけて、近しい人たちの4人の死に巡り会った、彼女。夕方や、布団の中に
入った時が辛いって。夕方は、人をメランコリックにしちゃうのよね。若くても、そうでなくても。
缶チュウハイ1本が今夜の私の晩酌。