岩波書店 坂本太郎・家永三郎
井上光貞・大野 晋 校注
ISBN4-00-007234-x 1800円+税 P200より引用
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壬辰に、人定に逮(いた)りて、
大きに地震る。国挙りて男(お
のこ)女(めのこ)叫び唱(よ
ばひ)て、不知東西(まど)ひ
ぬ。則(すなわ)ち山崩れ河湧
く。諸国(くにぐに)の郡(こ
ほり)の官舎(つかさやかず)、
及び百姓(おほみたから)の倉
屋(くら)、寺塔神社(てらや
しろ)、破壊(やぶ)れし類(た
ぐい)、勝(あげ)て数(かぞ)
ふべからず。是に由りて、人民
(おほみたから)及び六畜(む
くさのけもの)、多(さは)に
死傷(そこな)はる。時に伊予(いよの)
湯泉(ゆ)、没(うも)れて出(い)
でず。土佐国の田苑五十余万頃
(たはたけいそよろづしろあまり)、
没(うも)れて海と為る。古老
(おいひと)の曰く、「是(かく)
の如く地動(なゐふ)ること、
未だ曾(むかし)より有(あら)ず」
といふ。是の夕べに、鳴る声有
りて鼓の如くありて、東方に聞(きこ)
ゆ。人有りて曰く、「伊豆嶋の
西北、二面(ふたつのおもて)、
自然(おのづから)に増益せる
こと、三百余丈(みももつゑあまり)。
更(また)一の嶋と為れり。則
ち鼓の音の如くあるは、神の是
の嶋を造る響なり」といふ。
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▼西暦680年に起きた南海地震の
ことでしょうか。伊予や土佐国
が埋もれて海になるとあります。
山崩れ、倉や寺神社が崩壊して
人が亡くなり家畜も亡くなる。
東と西で大災害が起こっている。
人々は泣き叫び悲嘆にくれてい
る。また伊豆の大島でしょうか。
噴火だろうと思います。是も随
分後になってからわかってきた
ことだろうと思います。さぞや
大変な天変地異だったことでし
ょう。
現代では原発というものが、こ
と(地震)があると全く制御で
きない物騒なものが東日本大震
災でとんでもないことになって
います。報道ではある知事さん
(だったと思いますが)が我が
国がアメリカの援助を断ったこ
とを避難していました。アメリ
カは最初から廃炉の方向で技術
者を送り込むということだった
のが、「それは困る」と言って
我が国は断ったとか報道されて
いました。この期に及んでまだ
復活できると考えているのでし
ょうか?。
こめぞう