昨日に引き続き真夏の多摩動物公園
真夏の動物園ほど人気のないものはないのではないだろう。
多摩動物公園は山の中にある、木陰に入れば幾分涼しいだろう。しかし、この日は無風状態。一陣の涼風も期待できない。
動物達も・熱帯にすむものも全く動かない。暑さと湿気で全く無気力。
人気がないのは当然。従って、お客もほとんどいない。そんな動物達を見るのもこれまた一興と出かけた。
それでもインドサイは真夏の照りつける太陽のもとで、干し草を無心に食べていた。
この日は、人気のあるアフリカ園は避け、アジア、オーストラリアを中心に見て回った。
カンガルーもKO状態。
水牛も巨体をもてあまし気味、炎天下の池は見るからに暑そう、お湯のようになっているのかも。
穴熊は体が小さいせいか元気に動き回り、愛嬌を振りまいていた。
多摩動物公園は野猿峠にある。
野猿峠は多摩川の左岸の住民にとって結構関係があった。
左岸は河岸段丘が迫っていたので多摩川の水を引くことができず、畑作であった。サツマイモの苗床を作ったり堆肥を作るために大量の落ち葉が必要であった。その供給地が野猿峠であった。
先ほど多摩川の左岸と言ったが、立川市は多摩川の左岸なのか右岸なのか悩んだことがあった。
毎年正月に行う「どんど焼き」のために国交省の京浜河川事務所に河川敷の使用許可申請を出さなければならない。申請書に使用個所を特定しなければならない。
その時、海に向かって、つまり下流に向かって左が左岸、右が右岸ということが分かった。
子供の頃、近所の農家の人たちと一緒に落ち葉掻きに野猿峠に行った。
大人たちが落ち葉を集めている時に、子供たちには大きな楽しみがあった。
ヤマユリの根や自然薯掘りである。
ユリ根を掘るのは比較的簡単だが、自然薯掘りは大変である。木の根の中に深く成長している。途中で折らないよう、遺跡の発掘さながら神経を集中して作業を進める。
できるだけ大きなものを他人に先を越されないようにしなければならない。
それにはちょっとしたコツがある。
ユリ根は花の数が多いほど大きく、自然薯は茎が太いほど長く太い。
そこで、秋に山に行き、地上に出ている茎をむしり取ってしまい、適当に成長したものに自分だけが分かる印を付けておく。
それを落ち葉掻きの時に掘りだしてくる。
自然薯にはもう一つの楽しみがある。むかごである、塩ゆでにして食べたものである。今では、居酒屋で小皿に乗ってそこそこの値段が付いている。
多摩動物公園の木陰のあちこちにヤマユリが咲き、良い匂いを漂わせていた。
子供の頃の野猿峠を思い出させた。