鎌倉の有名観光地は一年中賑わっていて結構だが、隠者には似合わない。
もっと静かで幽玄な場所にこそ、中世の幻影は現れる。
そんな世捨人向きの、これぞ鎌倉と言う場所をいくつか紹介しよう。
(寿福寺奥の源実朝公の供養やぐら)
啓蟄で隠者も崫を出てきた。
鎌倉時代には天皇家以外の墓は無く、墓と言っているのは供養塔である。
ここに骨が埋まっている訳ではない。
北条政子の供養塔と並んでいる。
鎌倉時代らしい重さと暗さがあって、思索に耽るのに良い場所だ。
(瑞泉寺 夢想国師の庭園)
いかにも中世の雄渾な趣きで、他に類を見ない名庭だと思う。
隠者はこんな岩窟に冷暖房付きで住みたい。
暗い岩屋から見える外界の春陽は、さぞ美しく優しいだろう。
池には蛙や蜻蛉が卵を産み、小鳥や鴨もよく来る。
写真の向かって右に今は水量が少ないが小滝がある。
京都の天竜寺のように有名ではないが、私はここを夢窓の作庭の一位に推す。
また人知れず静かに在る事も夢窓国師の願いだろう。
昔はこの脇の細い石段を登った所に、富士を見晴らす小庵があった。
岩窟だけでは殺風景に思えるが、そのすぐ外は花鳥の浄土だ。
瑞泉寺の坂を下ると早咲きの緋寒桜が咲き誇っている。
岩窟の暗さと桜の明るさの落差が、中世の幻想をより鮮やかに見せてくれる。
---日も影もうすれて花の色が勝つ---
夢幻とか幻想と言うのは用意されている物ではなく、自らが描き出す物だ。
皆も鎌倉に来たなら、ぜひ中世的幽玄さを味わって欲しい。
食べ歩くだけなら鎌倉より東京方面を勧める。
他の場所ももっと紹介したいが、またの機会にしよう。
©️甲士三郎
もっと静かで幽玄な場所にこそ、中世の幻影は現れる。
そんな世捨人向きの、これぞ鎌倉と言う場所をいくつか紹介しよう。
(寿福寺奥の源実朝公の供養やぐら)
啓蟄で隠者も崫を出てきた。
鎌倉時代には天皇家以外の墓は無く、墓と言っているのは供養塔である。
ここに骨が埋まっている訳ではない。
北条政子の供養塔と並んでいる。
鎌倉時代らしい重さと暗さがあって、思索に耽るのに良い場所だ。
(瑞泉寺 夢想国師の庭園)
いかにも中世の雄渾な趣きで、他に類を見ない名庭だと思う。
隠者はこんな岩窟に冷暖房付きで住みたい。
暗い岩屋から見える外界の春陽は、さぞ美しく優しいだろう。
池には蛙や蜻蛉が卵を産み、小鳥や鴨もよく来る。
写真の向かって右に今は水量が少ないが小滝がある。
京都の天竜寺のように有名ではないが、私はここを夢窓の作庭の一位に推す。
また人知れず静かに在る事も夢窓国師の願いだろう。
昔はこの脇の細い石段を登った所に、富士を見晴らす小庵があった。
岩窟だけでは殺風景に思えるが、そのすぐ外は花鳥の浄土だ。
瑞泉寺の坂を下ると早咲きの緋寒桜が咲き誇っている。
岩窟の暗さと桜の明るさの落差が、中世の幻想をより鮮やかに見せてくれる。
---日も影もうすれて花の色が勝つ---
夢幻とか幻想と言うのは用意されている物ではなく、自らが描き出す物だ。
皆も鎌倉に来たなら、ぜひ中世的幽玄さを味わって欲しい。
食べ歩くだけなら鎌倉より東京方面を勧める。
他の場所ももっと紹介したいが、またの機会にしよう。
©️甲士三郎