鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

109 隠遁神の収穫祭

2019-10-03 13:49:55 | 日記
先週に続きマイナーな神神と座を共にする、隠者流の収穫祭を紹介しよう。

(ハーミットレリーフ 19世紀 什器類 18〜19世紀)
今回は以前にも紹介した私の御本尊と言うべきハーミット(隠者)レリーフを祭神にした収穫祭だ。
探神院お得意の和洋折衷の什器揃えで、イギリス アンティークのピューター ブラス類と古伊万里金襴手の取合わせ。
前回の猫神様には魚料理だったので、今度は肉中心にした。
読者諸賢の特に若い人に推奨したいのは、私にとってのこのハーミットレリーフのような、何か己の魂を込められる物とか神宿る物を探し出して自室に祀る事だ。
スピリチュアル ライフの標準装備として、自分だけの護符や聖像やアーティファクト(聖遺物)のような物を持つと、どんな孤独時困難時でも「我、神と共にあり」と思えて心強い。

次は日本と同じ多神教であり、後世にはローマカトリックに異端弾圧されたギリシャ ローマの神神に秋果を献げよう。

(ディオニュソスのイコノグラム ギリシャ 紀元前2〜3世紀)
私は血糖の呪いによっていっさい果糖類は食べられないと言っているのに、長野に住む旧友が毎年嫌がらせの葡萄を山ほど送ってくる。
仕返しにこちらからは塩分過多のジャーマンソーセージを送ってやるのだ。
食べられない葡萄は腐るまでディオニュソスの神前に置いておくしかない。
言うまでもなくディオニュソス(ローマ名はバッカス)は葡萄酒の神なので、喜んでニュムペー達と日々酒宴に浸ることだろう。
このイコノグラムはディオニュソス、ニュムペー(妖精)、葡萄の樹、スキュラ(酒杯)、アンフォラ(酒壺)、魔杖、豊穣の角などの図像で簡易魔法陣が組まれている。
祭祀様式はルネサンス時代に行われていた、古代ギリシャの遺物などを使った魔術や錬金術や神智学などが入り混じった怪しい物らしい。
今日の祭典にふさわしいBGMは、キャサリン ジェンキンスの「Vide Cor Meum」だ。
映画ハンニバルやアレキサンダーにも使われた荘厳輝輝たる曲で、これを聴くと中世カトリック的な閉塞感とは全く違う古代地中海文明の開放感が強く伝わって来る。

ついでにオケアノウスのイコノグラム(前出)の楽園にいる双頭の貴婦人=アテナ にも御供えしよう。
葡萄はまだ山ほど余っている。

(オケアノウスのイコノグラム ギリシャ 紀元前2〜3世紀)
この五芒星形のイコノグラムはオケアノウスの庭 薔薇 ライオン 双頭の貴婦人 ニュムペー 斧の銀貨で構成された、一年中果物が実り花の絶えない古代の楽園を象徴する魔法陣だ。
このようなアーティファクトを使えば、日常茶飯をさらにファンタジックに神聖化できる。
アールヌーボーのピュータープレートに盛った秋果の彩りの美しさからオデュッセイの世界に誘われ、暫しの夢幻に浸るのが上等な隠遁生活と言うものだ。

©️甲士三郎

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