法隆寺講演会
2月20日、大阪・中之島会館で朝日新聞社等主催法隆寺講演会が開催されました。この講演会は「法隆寺金堂壁画保存活用委員会」の周知活動の一環として行われており、今回が6回目になるそうです。今年はコロナのために会場での参加を制限し、ライブ配信が行われました。視聴してみました。
講演内容
基調講演 「聖徳太子1400年御遠忌現代に通じるこころ」 古谷 正覚 法隆寺管長
講演① 「なぜ法隆寺金堂は日本最古の建築となりえたか」 腰原 幹雄・東京大教授
講演② 「ガラス乾板から再現された法隆寺金堂壁画の美」 増記 隆介・神戸大准教授
講演③ 「アーカイブ調査で見えてきた法隆寺金堂壁画と昭和大修理」 青柳憲昌・立命館大准教授
聖徳太子が1300年以上前に建てた法隆寺は、現存する世界最古の木造建築物です。
コンピュータもクレーンもない時代に造られた五重塔、金堂をはじめとする建築物群、柱一本、板一枚を作るためにも考えられないほどの手間がかかったことでしょう。これらの木造建築がほぼ完全に近い形で残ることは奇跡に近いと言われています。
建物維持保存のために幾度となく修理が行われ、最近では昭和9年から昭和60年にかけて昭和の大修理が行われました。この間の昭和24年火災により金堂壁画が焼損した話しはよく知られています。
「金堂壁画が焼損したのになぜ金堂建物が世界最古として残っているのか」という質問がありました。私は金堂だけは再建されたものと思っていました。しかし、そうではなく火災があったとき金堂は修理のため解体されており、壁画の部分のみが仮屋で覆われていました。そういう訳で金堂のほとんどの部材は火災を免れ、引き続いて世界最古の名を保っているそうです。