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「リア王」 舞台内容 一幕二場(1)

2010-02-01 08:48:38 | 「リア王」

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 グロスター伯爵の居城の一室にエドマンドが手紙を持って登場する。
 この場では、グロスター一家を中心にして展開する。リアを中心にしたストーリーをメイン・ストーリーとすれば、これはサブ・ストーリーである。




 先ずはグロスターの私生児エドマンドの独白から始まる。
 'Thou, nature, art my goddess; to thy law
   My services are bound.'
 (自然よ、お前こそがこの俺の女神だ。お前の掟に、
 俺はしもべとして従うぞ)


 『リア王』において「無(nothing)」と並んで重要なキーワードは「自然(nature)」である。
この(nature)という語にも、様々な言葉で用いられていて、一つは、ここでエドマンドが呼びかけている「自然」であり、自分の欲望を満たすためには何でもする「むき出しの欲望」といった意味を持つ。もう一つは親子の間の「親を思う自然の情愛」という意味である。これは前場でリアが「愛情比べ」の場で、3人の娘たちに向かって言った言葉にある。

 他にもあるのだが、それは後で述べることにする。




 引き続きエドマンドの独白は続く。
             'Wherefore should I
   Stand in the plague of custom, and permit
   The curiosity of nations to deprive me,
   For that I am some twelve or fourteen moonshines
   Lag of a brother ? Why bastard ? wherefore base ?
   When my dimensions are as well compact,
   My mind as generous, and my shape as true,
   As honest madam's issue ?'
             (何のためなのだ、
 仕来りの枷を嵌められて、なぜ大人しくしていなければならないのか、
 俗物の民衆どもの口出しに自分の権利を奪われて黙っていなければならないのか。
 兄より十二ヶ月か、十四ヶ月そこらの遅れて生まれてきたという、
 それだけの事だけでなのか? 何が庶子だ? 何が妾腹だ?
 五体の釣り合いは取れている、
 気性もどこまでもに高貴だし、
 姿形もどこから見ても身持ち正しい奥方の
 御子息としか見えないのに?)


 これらの言葉の中に、これからのエドマンドの行動の謎を解く鍵がある。彼は、自分が「私生児(natural son)」だから、世間の倫理の外におかれていると考え、悪漢となり、自分を疎外した世間に復讐をしてやろうと決意する。




 彼は嫉妬から、ある悪企みを計画する。今エドマンドは手に手紙持って、この独白を述べているのだが、この手紙は、嫡子であり、兄であるエドガーを相続者の地位から追い落とし、自分が取って代わろうとする計画に関係するのだった。