gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

「リア王」 舞台内容 一幕二場(2)

2010-02-02 15:11:20 | 「リア王」

イメージ 1


 エドマンドが手紙を手にして独白を述べているところへ父のグロスターが登場する。彼はまだ、先程のリアがコーディリアとケントを追放してしまった事について考えていた。
 'Kent banish'd thus ! and France in choler parted !
   And the king gone to-night ! subscribed his power !
   Confined to exhibition ! All this done
   Upon the gad !'
 (ああしてケントは追放された! そしてフランス王は腹を立てて去った!
 国王も夜のうちに行ってしまわれた! 権力を譲り果たしてしまわれた!
 宛がい扶持を受ける身分(一方的に養われる身分)となられた!
 しかも、これらが一度に降って湧いたように行なわれてしまった! )


 父の姿を見ると、エドマンドは慌てて手紙を隠すが、父の注意を惹きつけるようにわざとらしく行なう。
 グロスターはエドマンドの期待通りに手紙の中身を見せろと迫り、エドマンドは、ちょっと躊躇う振りをしながらそれを見せる。そして兄を擁護する振りをしながら、兄の誠実を父に疑わせるように仕向けていくのだ。




 グロスターがその手紙を読んでみると、エドマンドがほのめかしたとおりの事が書いてあった。
     'The policy and reverence of age makes the world bitter to the best of our
   times; keeps our fortunes from us till our oldness cannot relish them. I begin
   to find an idle and fond bondage in the oppression of aged tyrany; who sways,
   not as it hath power, but as it is suffered. Come to me, that of this I may
   sprak more. If our father would sleep till I waked him, you should enjoy half
   his revenue for ever, and live the beloved of your brother.'
 (老人を尊敬するという仕来たりは、我ら若い者にとって苦痛の種であり、
 そのために我らは、いたずらに財産から遠ざけられて、それを譲り受けられる時が来ても、
 年老いてそれを楽しむ事が出来なくなっている。この頃のわたしは、そういう老人の横暴極まる
 圧迫に服従する事は無意味であり、愚かであると思うようになった。老人たちが、
 我らを支配するのは、力があるからではなく、我らがそれを黙認しているからだ。
 是非、わたしの所へ来てくれ、この件につき、もっと話したい事がある。
 もし父上がわたしが起こすまで目を覚まさずにいれば、その収入の半分はお前の物とし、
 お前は兄たるわたしの愛に包まれて暮らす事になろう。エドガーより)


 グロスターは、息子のエドガーがそんな裏切りを企てていると思いたくなかったが、エドマンドの罠に、易々と引っ掛かってしまう。
    'My son Edgar ! Had he a hand to write this ? a heart and brain to breed it
   in ? ――When came this to you ? who brought it ?'
 (我が子のエドガーが! あれにこんな手紙を書く手があったのか? こんなことを思いつく頭と
 心臓を持っていたのか? ――これをいつ受け取った? 誰が持って来たのだ? )


 グロスターは、エドマンドの言を直ぐに信じ、この手紙に何ら疑いを持たずにエドガーから来た物であると決めてしまっている。

 今さっき、リアとコーディリアを状況を見てきたばかりなのに…… 、人は他人の事はよく見えても、自分の事は見えない、と言うことなのでしょうか。




 エドマンドは、ここぞとばかりに父親を益々罠の中へと引きずり込んでいく。
 'It was not brought me, my lord; there's the gunning of it;
   I found it thrown in at the casement of my closet.'
 (直にわたしの所に持って来たものではありません、お父さん。巧く考えたものです。
 わたしの部屋の窓から投げ込んでありました)


 そう言いながら、彼は、この手紙の筆跡がエドガーのものであると言い、エドガーが言ったということを、兄を擁護する振りをしながら父に繰り返す。


 騙されやすいグロスターは、エドマンドの言葉と手紙の内容が符合しているので、エドマンドの罠に完全に嵌まり込んでしまうのだった。