グロスター伯爵の居城の中庭。
ここは再びサイド・ストーリーへと移る。
エドマンドはグロスター伯爵の居城にいて、グロスター家の廷臣カランと中庭で出会い、彼からコーンウォール公爵夫妻が父の所に滞在するためにやって来ることを聞く。
さらにはコーンウォール公爵とオルバニー公爵との間に戦が起こるかもしれないという噂を聞くのだった。
エドマンドは、この重大なニュースにより、自らの陰謀を進める好機であると捉え、速やかに判断し直ちに実行に移すのだ。
エドマンドの父グロスターは、エドマンドが作成したエドガーからの偽りの手紙を本物であると思い込んで、エドガーを捕まえるために見張りをおいていた。
エドマンドはそれを理由に兄エドガーをこっそりと匿っていたのだが、先のコーンウォール公爵夫妻が父の所に滞在するためにやって来ることを聞くと、それを利用し、エドガーがコーンウォール公爵のことを悪く言ったので、コーンウォール公爵が彼を捕らえるためにここへ訪れるのだということを仄めかす。
エドガーには全く身に覚えがないので、躊躇している間に、エドマンドはしきりに逃げるように促し、父が近づいてくる音を聞くと、剣を抜く。小声で彼は兄に逃げてくれと頼みながら、大声で助けを求める。
エドガーは慌てて逃げ出し、彼が背を向けるや否や、エドマンドは刺客から身を守るために負傷したという作り話をもっともらしく見せるため、自分の腕を傷つけるのだった。
この陰謀は強引で奇怪きわまるものだけど、成功するのだ。グロスターはすっかり狼狽し騙されてしまう。
エドマンドは、エドガーが書いた手紙の内容を一歩進めて、今度は父殺しに加担するようにと頼みに来たのだと告げた。
そしてこの悪巧みに応じないのを見ると、エドマンドを殺して悪巧みを隠そうとしたという作り話をした。
グロスターはこの作り話を鵜呑みにしてしまい、彼は親不孝な悪党のエドガーを捕らえ、さらにはエドマンドを正式な後継ぎにする。
次にエドマンドは、コーンウォール公爵夫妻に慎み深いそうな態度を装って取り入り、リーガンが「もしやエドガーは、わたしの父に仕えている乱暴な騎士どもと親しく付き合っていませんでしたか」との問いに、狡猾にも、控えめに承認して、いかにもそれが事実であるという印象を与えた。
エドガーの名付け親はリアであり、父のリアに対し、腹に一物を企んでいるリーガンは、この状況をリアと無理やり結び付けようとしているのである。
また、父を守るために負傷したことをコーンウォール公爵に褒められると、「あれは当然の事を行なったまでです」と答え、益々の信用を得て、コーンウォールの仲間に加わるのだった。