前場と同じく、オルバニー公爵邸の内庭。リア、ケント、道化が登場する。
ゴネリルに見切りをつけたリアは、次女のリーガンの所に居を移す決心をした。彼女だったら自分を喜んで迎え、彼女によって権勢を取り戻すことが出来るであろう、と考えてのことだった。
そこでリアは、現在リーガン夫妻(コーンウォール公爵)が滞在している居城の主のグロスター伯爵に手紙を書き、ケントに持たせやる。しかし、一枚上手のゴネリルは、それに先回りして自分に都合のいいような具合に事を知らせるためにオズワルドを使いに出していた。
リアはゴネリルの策略のもとに今まで味わったことの無い厳しい試練を受けたため、とても惨めな気持ちになっていた。これまで他人に加えてきた権勢を、よりよって我が娘から受けることになったからである。
リアは心を無力感で満たし、それに堪えられなくなっていた。
'O, let me not be mad, not mad, sweet heaven ! Keep in temper: I would not be mad !' (おお、神よ、余を気違いにしないでくれ、気違いにだけは! お願いだ、正気でいさせてくれ、気違いだけにはなりたくない!)
リアは、今まで人の下に付いたことがなく、自分の思いのままに振舞ってきたのであろう。しかしこの歳にいたって初めてこんな境遇になったしまったのだ。
たぶん今までの自分を全て否定されたしまったような気持ちになったに違いない。その事にリアは堪えられなかったのだ。
たぶん今までの自分を全て否定されたしまったような気持ちになったに違いない。その事にリアは堪えられなかったのだ。
これで一幕は閉じる。