オルバニー公爵家の家令であるオズワルドが退場するのと、入れ替わりにリアが召し抱えている道化が登場する。
さらに、
こういうことを繰り返しているうちに、リアはいよいよ自分のことのした愚かさを深刻に考えるようになった。
シェークスピアの劇には数多くの道化が登場するが、この道化は他のものとは少し違う役目を負っている。
『リア王に』に登場する道化は、貧しく知能が足りないが、心の優しい人間として描かれていて、一度信じたら、それを棄てずに何度も何度も繰り返し喋る。
時には薄気味が悪くなるほど物事の急所を突き、時にはユーモラスに、時には苦々しい味を添えて、聞く者の心に印象を与えるように計算されていて、何よりこの劇の良心のような働きをすることだ。
ケントがこの場で登場するまで、リアは王座を手放したことの愚かさに気が付いていなかったが、ケントとのやり取りで自分がとんでもない事をしてしまったことに気が付き始め、次にその事を道化とのやり取りで確信する。
『リア王に』に登場する道化は、貧しく知能が足りないが、心の優しい人間として描かれていて、一度信じたら、それを棄てずに何度も何度も繰り返し喋る。
時には薄気味が悪くなるほど物事の急所を突き、時にはユーモラスに、時には苦々しい味を添えて、聞く者の心に印象を与えるように計算されていて、何よりこの劇の良心のような働きをすることだ。
ケントがこの場で登場するまで、リアは王座を手放したことの愚かさに気が付いていなかったが、ケントとのやり取りで自分がとんでもない事をしてしまったことに気が付き始め、次にその事を道化とのやり取りで確信する。
Fool: ...... How now, nuncle ! Would I had two coxcomb and two daughters. Lear: Why, my boy ? Fool: I gave them all my living, I'ld keep my coxcombs myself. There's mine; beg another of thy daughters. 道化: ……どうだい、おっさん! おいらも欲しいな、鶏冠帽(身分を表す帽子)が二つに娘が二人。 リア:なぜだ? 道化:たとえ娘どもに全財産をくれてやっても、おいらならせめて鶏冠帽だけは 自分の物にしておくよ。こいつはおいらのだ、おっさんも欲しけりゃ、 娘どもに頼むしかあるまい。
さらに、
Lear: Dost thou call me fool, boy ? Fool: All the other titles thou hast given away; that thou wast born with. ............ Fool: ...... Give me an egg, nuncle, and I'll give thee two crowns. Lear: What two crowns shall they be ? Fool: Why, after I have cut the egg i' the middle, and eat up the meat, the two crowns of the egg. リア:余を阿呆呼ばわりするというのか、小僧? 道化:他の肩書きを皆譲ってしまったからさ、持って生まれたものしか残っていないよ。 ………… 道化: ……おっさん、卵を一つくれたら、冠を二つやるよ。 リア:二つの冠とはどんな物だ? 道化:うん、おいらが貰った卵を二つに割って、中身を食ってしまえば、 卵の冠が二つできるだろう。
こういうことを繰り返しているうちに、リアはいよいよ自分のことのした愚かさを深刻に考えるようになった。
そして彼が良心に責められているうちに最中にゴネリルがやってくる。