グロスターは、さらに悪い前兆があると、話を続ける。
'We have seen best of our time: machinations, hollowness, treachery, and all ruinous disorders, follow us disquietly to our graves. Find out this villain, Edmund; it shall lose thee nothing; do it carefully. And the noble and true- hearted Kent banished ! his offence, honesty ! 'Tis strange.' (良き時代は過ぎ去ってしまった。策謀、不誠実、裏切り、ありとあらゆる浅ましき無法が 我らを駆り立て、休む間もなく墓場へ追い込もうとする。あの悪党を見つけ出せ、 エドマンド、おまえを困らせるような事なせぬ。慎重にやるのだ。あの高潔で誠実な ケント伯爵が追放されたのだ! その罪は誠実であるという! おかしな事になってしまった)
エドマンドは道徳心を持たないのみならず、迷信などまったく気にしない。それは彼が「私生児(natural son)」だからであり、「親を思う自然の情愛(nature)」や「自然摂理(nature)」とは、掛け離れた背信者なのだ。
特に自分の欲望を満たすためには何でもする、といった意味での「むき出しの欲望(nature)」と親を思うという意味での「自然の情愛(nature)」との対照的な(nature)の対比が『リア王』のテーマの一つなのだ。
特に自分の欲望を満たすためには何でもする、といった意味での「むき出しの欲望(nature)」と親を思うという意味での「自然の情愛(nature)」との対照的な(nature)の対比が『リア王』のテーマの一つなのだ。
エドマンドは、父がエドガーを憎むように仕向ける事に成功した。次にエドガーには、父が彼に対して腹を立てていると伝え、父に近づいてはならない、行くなら武装して行くようにと忠告する。ただしエドマンドは、エドガーの味方であると信じ込ませる。
エドガーはエドマンドの忠告に従い、身を隠すために退場した。
この後、エドマンドは事態を要約して独白する。
この後、エドマンドは事態を要約して独白する。
'A credulous father ! and a brother noble, Whose nature is so far from doing harms, That he suspects none; on whose foolish honesty My practices ride easy ! I see the business. Let me, if not by birth, have lands by wit. All with me's meet that I can fashion fit.' (親父はお人好し! おまけに兄貴も気が良いときている。 生れつき他人に害を加える事など夢にも思わない、 他人もそうだと信じ込んでいる。その馬鹿正直がこちらの付け目だ! この一件、凡その目鼻は付いた。素性で手に入らない土地ならば、 頭によって奪って見せる。手段は何でも結構、目的通りに事が運ぶならば)