ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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横光利一 『蠅』 読了

2019年04月09日 23時02分16秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。
 
 
随分前の話になりますが、みきさんに紹介していただいた
横光利一さんの「蠅」を読みました。
 
非常に短い作品でしたが、独特な世界観に引き込まれる作品でした。
 
蠅は、冒頭蜘蛛の巣に捕らわれ、死の象徴のように現れます。
しかし、物語の終盤では、命を落とす人間たちを見下ろす
生の象徴として扱われており、わずかな時間の中で
全く対極に位置することとなる蠅は、非常に不気味な存在感を放っています。
 
 
蠅の登場から、のちに死を迎えることになる
様々な人間が登場してきます。
それぞれの立場の人間が、それぞれの要件で馬車に乗り合わせます。
その様が、冒頭で蠅を捉えていた蜘蛛の巣のように交差し、
抗うことのできない死を招く。
 
運命とすればそれまでですが、わずかな文量の中で、
生き生き、というか非常に生々しく描かれており
その後に訪れる死が、非常に衝撃的に写ります。
 
 
コンパクトにまとめられているが故に、非常にインパクトのある作品でした。
コメント (1)
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