こんばんは、ジニーです。
随分前の話になりますが、みきさんに紹介していただいた
横光利一さんの「蠅」を読みました。
非常に短い作品でしたが、独特な世界観に引き込まれる作品でした。
蠅は、冒頭蜘蛛の巣に捕らわれ、死の象徴のように現れます。
しかし、物語の終盤では、命を落とす人間たちを見下ろす
生の象徴として扱われており、わずかな時間の中で
全く対極に位置することとなる蠅は、非常に不気味な存在感を放っています。
蠅の登場から、のちに死を迎えることになる
様々な人間が登場してきます。
それぞれの立場の人間が、それぞれの要件で馬車に乗り合わせます。
その様が、冒頭で蠅を捉えていた蜘蛛の巣のように交差し、
抗うことのできない死を招く。
運命とすればそれまでですが、わずかな文量の中で、
生き生き、というか非常に生々しく描かれており
その後に訪れる死が、非常に衝撃的に写ります。
コンパクトにまとめられているが故に、非常にインパクトのある作品でした。