ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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東野圭吾 『マスカレードイブ』読了

2020年07月26日 13時55分42秒 | 読書
こんにちは、ジニーです。

今日も読書感想を書いていきましょう。
読んだのは東野圭吾さんの「マスカレードイブ」です。

本作は、「マスカレード・ホテル」という長編小説の前日憚とも呼べる作品で、
4つの短編から構成されている短編小説です。

主人公はふたり。
刑事の新田浩介と、ホテルのフロントクラークである山岸尚美。
「マスカレード・イブ」で主人公だった二人が出会う前のストーリーのため
2作品ずつ、それぞれが主人公となった作品が交互に掲載されています。

どちらも共通しているのは、マスカレードという言葉の通り、仮面。
人が日常的につけている仮面のことで、常に物語には登場人物の本性が
垣間見られる構成となっています。

刑事として向き合う犯人やその関係者がつけている仮面。
ホテルのフロントとして接する客がつけている仮面。
その二つの観点から巧みに、そして面白みのある物語が読む手を次に次にと
進めさせていく面白さがありました。


仮面と一言で言っても、様々にあって。
どれも他人を欺くためのものではあるのですが、その目的がちがう。
うまくその違いをテーマに短編を仕立てている形で、そこが話を
単調にさせず飽きさせないポイントなのだと感じています。

そういった点でホテルを一つの舞台に置いたのは作者の着眼点の鋭さだと
感じており、面白い作品を書く人はふだんからテーマとなる題材を感度高く
探しているのだろうなと思いました。

僕らは客としての仮面は確かに持っていて、
普段家にいるような感覚とは違う自分が、特に格式高いホテルに泊まるような
場面では出てきているのではないかと思います。
いわゆる客としての自分を装っている。

不思議なもので、仮面をつけて装うと、言葉遣いや服装、ふるまいなど
すべてに影響が出てきます。
面白いものですね。
作者自身もそういう時があるのでしょうね。
だからこそ、ひとのつけた仮面はテーマにしやすい。
実際に小説というものには少なからず仮面をはがして本性を暴くような
場面は常につきものですが、そこを題材にしたのが面白いですね。

この人物のつけている仮面はどんなものだろう?
そう思いながら読み進めていくと、冒頭と終幕とで登場人物の見え方が
かわり面白いのではないかと思います。
そして、仮面をはがされなかった人は・・・。


もちろんではありますが、「マスカレード・ホテル」を読んだうえで
本作を読んでいただくことをお勧めします。
ちなみに「マスカレード・ホテル」は映画化もしており、そちらも面白かったです。


コメント
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