楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

未来社会はどうあるべきか 6 ひとまずここで終わり

2009-06-01 14:08:42 | Weblog
  貨幣が交換機能だけにとどまらず、そこに付帯していた蓄蔵機能。
過去の物々交換の時代であれば、物として蓄蔵していれば消費期限の問題が出てくるが、貨幣(紙幣)として蓄蔵すれば、その国が滅びない限り無期限の消費期限を持つことになる。それはいつでも物もしくは労働との交換が可能であることから量的に際限なく蓄蔵できてしまう。

 第一のパイ(市中)では交換機能だけが発揮される社会であるとき、同じ貨幣が交換を必要とする人々の間で幾度となく回ることになる。そこには多くの人達の間で物もしくは労働の交換が発生する。蓄蔵したとしてもそれはタンス預金程度であり、現在社会のようにカネにカネを生ませる行為までは発展しない。

 第二のパイの貨幣は第一のパイの中で労働以外(証券・金融商品等)の交換が作り出した実態のない数字だけの架空の貨幣でありながら、現実の社会の、第一のパイの中でいつでも実態を伴う貨幣と交換することができる。交換された貨幣は第一のパイの中で物、つまり労働との交換が可能であり、そこに蓄蔵の意味が大きくかかわってくる。持てる者はより多くの貨幣を蓄えようとし、第二のパイの中でより膨らませようとする。

 第二のパイが制限された状態では、架空の貨幣を膨らませることはできない。その状況では貨幣を多く所持していたとしても、第一のパイ(市中)で使用していく以外方法はないのである。たとえ多くを所持したいがために、他者の労働の私有(搾取)から得た所得であったとしても、使うことができるのは限られた貨幣量でしかない。かりに他者の労働の一部を私有して得た金によって豪奢な家を建て、豪華なクルーザーを持ったとしても、それは第一のパイの中で人々の労働がかかわっていることにより、貨幣も労働と労働の交換へと限りなくかかわっていく。つまり多くの分業を作り出し、多くの人々の間で経済が活性化されていく。


 現在の社会的状況

 現在の社会的状況は人々が貨幣を通した交換をためらっている状況からきた不況である。このような状態がなぜ起きてしまったのか、それを簡単に纏めるとするなら、前にも書いているが一部の人間が第二のパイを膨らませすぎた結果からきた反動としての、全体的購買意欲の減退ということになる。

 少なくとも未来社会においてはこのようなことが繰り返されないよう、第二のパイを膨らませるような行為を制限することが大事であるといえる。
 
 






最新の画像もっと見る

コメントを投稿