名古屋の愛知県美術館で29日開幕した第45回日展東海展に行ってきました。水彩画を通じて知り合い、洋画部門で初入選したYさんの作品を見る楽しみと、不正疑惑で信頼を失った日展のこれからに期待をかけての鑑賞でした。日展東海展は2月16日)まで。
僕がYさんを知ったのは4年前。レベルの高い水彩画の公募展に挑戦しようと、名古屋での作品研究会(勉強会)に出掛けた会場で出会いました。同年輩。画歴も同じようなものだったようですが、作品の風景画を拝見して出来のすごさに驚いたものです。
Yさんは、その公募展で初入選。その上、何と奨励賞を獲得しました。
Yさんは言いました。「僕は日展を目標にしています」「だから、もっと大きな作品を描く勉強をしなければ・・・」
翌年も別の公募展で入賞。構図はもちろん、巧みな光と陰、彩色の風景画を前に、「スケッチに出かけて夢中になり、帰り着くことができるかどうか不安になりました」とYさん。改めてYさんの創作に賭ける意気込みと努力のすごさを知らされました。
そして今回、日展の洋画部門で初入選。
トントン拍子というか、見事な三段跳びというべきか。一般的に水彩画で洋画部門に挑戦するのは大変といわれるだけに、驚くというより、敬服する次第です。
今後のYさんの一層の飛躍を祈りたいものです。
(日展の信頼回復に期待)
「今後の・・・」といえば、日展に対する信頼を一日も早く回復することでしょう。
「とうとうマスコミに取り上げられたね」
昨秋、日展の不正疑惑を取り上げた朝日新聞の調査記事を読んだ友人や絵仲間の何人かが呟いた言葉です。
「これはやり玉にあがった書の部門だけの問題ではないよ」「僕も聞いたことがある。先生に(カネを)いくら出したとか、落選したのにカネを返してくれなかったと、ひと悶着あったとか」「芸術作品に対する評価は主観的になりやすいから、こんなことが付きまとうのかな」「いろんな団体や会派の力関係もあるそうだし」――など、など。
僕は定年後に絵を趣味にしたものの、それまでも今も芸術作品については全くの門外漢です。でも、日展には東京展が国立新美術館に移る以前から、見聞を広めるため毎年のように鑑賞に出かけています。
そんな僕でも、日展をめぐる良からぬ話は部門を問わず耳にしてきました。やっかみや面白半分の噂話があるにしても、公募展の最高峰といわれる日展が不信感に覆われていることを残念に思っていたのです。
日展内部でも、信頼回復の努力がなされていると思います。この種の問題の克服は、組織の歴史と伝統があればあるだけ大変でしょう。
でも、日展以上の歴史と伝統のある大相撲が、八百長問題で陥った危機から内部浄化の努力もあって着実に立ち直り、信頼感を回復しつつあることを僕は感じています。
これからも日展の鑑賞を楽しみにします。