前回「左利き:子育ての悩み―Yahoo!知恵袋」お茶でっせ版、新生活版の最後に触れた質問、5歳の男の子の場合について書いてみます。
まず、今回も質問に続いてベストアンサーのみを紹介します。
解決済みの質問
前回も書きましたように、どのようにしてベストアンサーが決められるのか、よく知りません。
しかし、他の意見に比べてこの意見が優れているようには思えません。
確かに今回の他の回答は、前回の質問の際の回答に比べると、具体性に欠ける短い意見が多く、結局右利きにも受け入れやすそうなこの回答がベストアンサーに落ち着いたように思われます。
他の回答は「矯正」はよくないからやめなさい、あるいは、基本的には子供の自由でよいが字を書くのは右手でできるのなら右手でやらせてもよいのでは、という意見が大勢でした。
*
さて、ベストアンサーについての私の感想です。
この方自身左利きのようで、自分も娘も「治した」と書いておられます。
まず「治した」という表記そのものが何か嫌です。まるで病気か悪癖のようで、こういう左利きに対するものの見方・考え方それ自体に問題がある、というのが私の考えです。
次に、現状をよくお知りになっていないように思われます。
今では子供用のハサミは右手用と同一価格で販売されています。三百数十円ぐらいで売っています。専門文具売場のあるスーパーならたいていどこか一社ぐらいは置いています。
確かに同価格ですから右手用より安くはないのですが、高くもありません!!
※参照:「左手用/左利き用 はさみ・ハサミ・鋏 コレクション/左利きphoto gallery<HPG3>」
昔、メーカーのレイメイRAYMAY藤井の担当者氏におたずねしたところでは、製造原価はやはり左手用のほうが高くつく、けれど利潤を押さえて右手用と同一価格に設定している、という話でした。
他社も同じように努力されています。
さらに、大手百円ショップのダイソーでは、百円で大中小三種類のハサミを売っています。私も大を愛用しています。
他の一般用となると、若干高め。用途別のハサミ、専門的なものとなると、最低二割程度は割高になっているようです。その辺は確かにそうですし、手に入れるのも子供用よりはむずかしいかも知れません。
しかし、百歩譲ってそういう状況にあったとしても、子供のために必要なものなら多少のことは努力できるのが親御さんのお気持ちでしょう。
「ハサミ・鉛筆・お箸 この3つは直した方が良いかもしれませんね。」というのも、理解できかねます。
まず、「直せる」という前提が初めにあります。これが合点がいきません。
前回の「私の回答」の(2)番目にも書いたように、「左利きでも男性に比べると女性の場合は、比較的右手使いができる可能性が高いといわれます。これは女性の脳が男性の脳に比べて左右の機能分化が極端でないからといわれます。」
ベストアンサーの回答者さんの場合も女の子の例のようです。
ところが、この質問者の場合は男の子です。男の子の場合はむずかしいといわれます。
もっと大事なことは、なぜこれらの字を書くことや箸使いになると、右手でなければならないと考えるのか、ということです。
右手でないと、みっともないからでしょうか。作法にもとるというのでしょうか。
今ではこのような考え方をする人は少なくなっています。
右利きの人が右手を使うように、左利きの人は左手でいい、という風潮になっています。
その人の個性を尊重するのが作法であるから左利きは左手でよい、という作法の先生の言葉を紹介している本もあります。
※『左ききでいこう!―愛すべき21世紀の個性のために』(フェリシモ出版)第3章「左ききの未来を開く道づくりをみんなではじめよう」の「食事の席での左ききはマナーに反するの?」に、小笠原流総領家第32代世礼法家・小笠原忠統さんのお話が出ています。
字を書くのも同じことです。
その昔は一部の特権階級の人のみが身に付けられる特別な技術だったのです。当然お作法もうるさかったでしょう。
しかし、今は違います。
みんなが身に付ける技術となったのです。右手で書く人がいたり、左手で書く人がいてもよいのです。
右手が得意なら右手で左手が得意なら左手で、よいのです。
野球やサッカーなら許されて他ではダメというのは、やはり変です。
◆私の回答◆
左利きは左利きで、というのが基本です。
特に男の子の場合は、女の子より左利きの度合いが強く、右手を使える比率が低いと言われています。女の子ならできると意味ではありません(強調!)が、過去の経験や調査結果などからいうとそういう傾向があるということです。
「字はとても書きづらそう」というのですが、これは右利きの人から見るとそう見えるという見かけ上のことか、本人も実際に書きにくいという感じているのか、が問題です。
左手で字を書いているのを見ると違和感がある、書きにくそうに見えると言う人がいます。
あくまで本人の身になって考えてください。非利き手より利き手の方がずっと使いやすいのです。
書くときの姿勢はどうか? 持ち方は正しいか? 照明の位置は? 筆記具が合っているか? など確認してください。
姿勢が悪いと腕がうまく動かせません。親指人差指中指の三本指できちんと持てないと鉛筆をコントロールできません。手元が見えないとうまく書けません。左から右への線は、右手書きの場合は自然な引く動作で書けますが、左手書きでは押すようになり、硬い筆記具では紙に刺さるなど非常に書きづらくなります。なめらかに書けるやわらかめの筆記具を使ってください。
幼児期はまず利き手を一人前に使えるようにすることが一番大事です。
もし左手で不便な場面が出てくれば、そのときに改めてどうするか本人が考えればよいことです。親が勝手に先回りして考えることではありません。
親は一生子供の面倒を見ることはできません。子供が自分の力で生きてゆけるように育てることを心がけてください。
※参照:『左組通信』表紙 > 目次 >「左利き私論」、『お茶でっせ』育児カテゴリ、『左ききで生きるには 週刊ヒッキイ』「左ききのお子さんをお持ちの親御さんへ」などで、左利きの子供さんへの対処法を考えています。
左手用の書き方補助具などは「左手/左利き用文房具(筆記具・定規・その他)/左利きphoto gallery〈HPG6〉」で紹介しています。
参考にしてください。
※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より「左利き:子育ての悩み―Yahoo!知恵袋その2」を転載して、テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
まず、今回も質問に続いてベストアンサーのみを紹介します。
解決済みの質問
5才の長男の件ですが、左利きです。そのままでいいか、右に矯正すべきか夫婦で意見が食い違っており困っています。絵を書くのが大好きなのですが左利きは右脳を刺激し芸術面でも優れると聞いており、このまま左でいいかと思いますが、字はとても書きづらそうです。▼ベストアンサーに選ばれた回答▼
どのように対処していくのが一番いい方法なのでしょうか。無理に矯正するのはよくないのでしょうか。 質問した人: yasusu27さん
ハサミ・鉛筆・お箸この3つは直した方が良いかもしれませんね。左用のハサミは高いですよ。探すのも一苦労・・・『お手て反対よ』って気がついたら持ち直してあげましょうね。そのほかは特に問題ないかと・・私もそのように治しましたし、娘も治しました。ですが左利きって結構器用なのよね^^握力は同じくらいになってるし^^どうしても高くつきそうなものだけは直した方が良いかもしれませんよ^^ 回答した人: ii_0v0_iiさん*
前回も書きましたように、どのようにしてベストアンサーが決められるのか、よく知りません。
しかし、他の意見に比べてこの意見が優れているようには思えません。
確かに今回の他の回答は、前回の質問の際の回答に比べると、具体性に欠ける短い意見が多く、結局右利きにも受け入れやすそうなこの回答がベストアンサーに落ち着いたように思われます。
他の回答は「矯正」はよくないからやめなさい、あるいは、基本的には子供の自由でよいが字を書くのは右手でできるのなら右手でやらせてもよいのでは、という意見が大勢でした。
*
さて、ベストアンサーについての私の感想です。
この方自身左利きのようで、自分も娘も「治した」と書いておられます。
まず「治した」という表記そのものが何か嫌です。まるで病気か悪癖のようで、こういう左利きに対するものの見方・考え方それ自体に問題がある、というのが私の考えです。
次に、現状をよくお知りになっていないように思われます。
今では子供用のハサミは右手用と同一価格で販売されています。三百数十円ぐらいで売っています。専門文具売場のあるスーパーならたいていどこか一社ぐらいは置いています。
確かに同価格ですから右手用より安くはないのですが、高くもありません!!
※参照:「左手用/左利き用 はさみ・ハサミ・鋏 コレクション/左利きphoto gallery<HPG3>」
昔、メーカーのレイメイRAYMAY藤井の担当者氏におたずねしたところでは、製造原価はやはり左手用のほうが高くつく、けれど利潤を押さえて右手用と同一価格に設定している、という話でした。
他社も同じように努力されています。
さらに、大手百円ショップのダイソーでは、百円で大中小三種類のハサミを売っています。私も大を愛用しています。
他の一般用となると、若干高め。用途別のハサミ、専門的なものとなると、最低二割程度は割高になっているようです。その辺は確かにそうですし、手に入れるのも子供用よりはむずかしいかも知れません。
しかし、百歩譲ってそういう状況にあったとしても、子供のために必要なものなら多少のことは努力できるのが親御さんのお気持ちでしょう。
「ハサミ・鉛筆・お箸 この3つは直した方が良いかもしれませんね。」というのも、理解できかねます。
まず、「直せる」という前提が初めにあります。これが合点がいきません。
前回の「私の回答」の(2)番目にも書いたように、「左利きでも男性に比べると女性の場合は、比較的右手使いができる可能性が高いといわれます。これは女性の脳が男性の脳に比べて左右の機能分化が極端でないからといわれます。」
ベストアンサーの回答者さんの場合も女の子の例のようです。
ところが、この質問者の場合は男の子です。男の子の場合はむずかしいといわれます。
もっと大事なことは、なぜこれらの字を書くことや箸使いになると、右手でなければならないと考えるのか、ということです。
右手でないと、みっともないからでしょうか。作法にもとるというのでしょうか。
今ではこのような考え方をする人は少なくなっています。
右利きの人が右手を使うように、左利きの人は左手でいい、という風潮になっています。
その人の個性を尊重するのが作法であるから左利きは左手でよい、という作法の先生の言葉を紹介している本もあります。
※『左ききでいこう!―愛すべき21世紀の個性のために』(フェリシモ出版)第3章「左ききの未来を開く道づくりをみんなではじめよう」の「食事の席での左ききはマナーに反するの?」に、小笠原流総領家第32代世礼法家・小笠原忠統さんのお話が出ています。
字を書くのも同じことです。
その昔は一部の特権階級の人のみが身に付けられる特別な技術だったのです。当然お作法もうるさかったでしょう。
しかし、今は違います。
みんなが身に付ける技術となったのです。右手で書く人がいたり、左手で書く人がいてもよいのです。
右手が得意なら右手で左手が得意なら左手で、よいのです。
野球やサッカーなら許されて他ではダメというのは、やはり変です。
◆私の回答◆
左利きは左利きで、というのが基本です。
特に男の子の場合は、女の子より左利きの度合いが強く、右手を使える比率が低いと言われています。女の子ならできると意味ではありません(強調!)が、過去の経験や調査結果などからいうとそういう傾向があるということです。
「字はとても書きづらそう」というのですが、これは右利きの人から見るとそう見えるという見かけ上のことか、本人も実際に書きにくいという感じているのか、が問題です。
左手で字を書いているのを見ると違和感がある、書きにくそうに見えると言う人がいます。
あくまで本人の身になって考えてください。非利き手より利き手の方がずっと使いやすいのです。
書くときの姿勢はどうか? 持ち方は正しいか? 照明の位置は? 筆記具が合っているか? など確認してください。
姿勢が悪いと腕がうまく動かせません。親指人差指中指の三本指できちんと持てないと鉛筆をコントロールできません。手元が見えないとうまく書けません。左から右への線は、右手書きの場合は自然な引く動作で書けますが、左手書きでは押すようになり、硬い筆記具では紙に刺さるなど非常に書きづらくなります。なめらかに書けるやわらかめの筆記具を使ってください。
幼児期はまず利き手を一人前に使えるようにすることが一番大事です。
もし左手で不便な場面が出てくれば、そのときに改めてどうするか本人が考えればよいことです。親が勝手に先回りして考えることではありません。
親は一生子供の面倒を見ることはできません。子供が自分の力で生きてゆけるように育てることを心がけてください。
※参照:『左組通信』表紙 > 目次 >「左利き私論」、『お茶でっせ』育児カテゴリ、『左ききで生きるには 週刊ヒッキイ』「左ききのお子さんをお持ちの親御さんへ」などで、左利きの子供さんへの対処法を考えています。
左手用の書き方補助具などは「左手/左利き用文房具(筆記具・定規・その他)/左利きphoto gallery〈HPG6〉」で紹介しています。
参考にしてください。
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