レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論130-私のベスト3[2019]フィクション系(2)~横田順彌明治小説コレクション全3巻

2020-04-05 | 本・読書
―第267号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2020(令和2)年3月31日号(No.267)「私の読書論130-
私の年間ベスト3・2019年フィクション系(2)」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2020(令和2)年3月31日号(No.267)「私の読書論130-
私の年間ベスト3・2019年フィクション系(2)」
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 前回は、
「私の年間ベスト3・2019年フィクション系(1)」
 でした。

2020(令和2)年3月15日号(No.266)「私の読書論129-
私の年間ベスト3・2019年フィクション系(1)」
2020.03.15
私の読書論129-私のベスト3[2019]フィクション系(1)
~ベスト3ぐらい
―「レフティやすおの楽しい読書」第266号
『レフティやすおのお茶でっせ』版
『新生活』版


 今回は、「フィクション系」の2回目、終了です。

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 - 現代の古典SF -
  ~ 私の年間ベスト2019 フィクション系 (2)~
  横田順彌明治小説コレクション全3巻
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前回のおさらい――
 ●(1)メルマガ用のお勉強の本
●(2)それ以外の古典の名作
 ●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
 ●(4)個人的な趣味の作品
 ●2019年に読んだ〈フィクション系〉ベスト3ぐらい
--
というわけで、
いよいよベスト3の紹介です。

 ●1位―横田順彌明治小説コレクション全3巻

(1)横田順彌明治小説コレクション全3巻 日下三蔵編 柏書房 2017

『時の幻影館・星影の伝説』 2017/8/1
―≪日本SFの祖・押川春浪と門人・鵜沢龍岳が遭遇する数々の摩訶
 不思議―SFの奇才にして古典SF研究の第一人者・横田順彌が贈る、
 科学と綺想、怪奇と幻想に満ちた“空想科学探偵譚”!≫

『夢の陽炎館・水晶の涙雫』 2017/9/1
―≪永久機関研究者の執念、日露戦争生還兵の予言、絵から抜け出
 す幽霊、南極探検に端を発する怪事件、押川春浪と鵜沢龍岳が挑
 む超常現象!SF、ミステリ、幻想…“空想科学探偵譚”復刻第2弾! ≫

『風の月光館・惜別の祝宴』 2017/10/1
―≪帝都を襲う怪事件―SFミステリ連作ここに大団円。科学か?迷
 信か?押川春浪、鵜沢龍岳が挑む不可思議事件簿。そして伊藤博
 文、乃木希典ら明治の英傑を巻き込む陰謀の驚愕の真相とは―
 “空想科学探偵譚”最終章。≫

 ●2位―『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

(2)『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ/著
 土屋政雄/訳 ハヤカワepi文庫 2008.8 [2005]

語り手キャシーの友人でもあるトミーへのルーシー先生の言葉――

 
「大して助けにはならないかもしれないけれど、
  覚えておいて、ヘールシャムにも少なくとも一人、
  別の考えの人がいる。絵が描けても描けなくても、
  物が作れても作れなくても、あなたはとてもいい生徒。
  これまで出会った誰にも負けないいい生徒。
  そう思っている人間が一人いるということをね」
》p.46


 ・・・

 
そのとき、
  わたしは胸に赤ちゃんを抱いているところを想像しながら、
  曲に合わせてゆっくり体を揺らしていました。
  いえ、単なる想像だけならまだよかったのですが、
  極り悪いことに、赤ちゃんに見立てた枕を抱いていました。
  そして、目を閉じ、リフレーンを一緒に歌いながら、
  スローダンスを踊っていました。/
  「オー、ベイビー、ベイビー、わたしを離さないで……」/
  (略)マダムが立っていたではありませんか。/
  一瞬、わたしはショックで硬直しました。(略)
  実に奇妙なことが起こっていました。(略)
  その位置から頭を一方に傾げ、
  ドアの内側を覗き込むようにして、わたしを見ていました。
  そして……泣いていたのです。/
  わたしを夢見心地から引き戻したのは、いま思うと、
  マダムのしゃくりあげるような
  泣き声だったのかもしれません。
》pp.112-113



老夫婦の冒険行『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ/著
 土屋政雄/訳 ハヤカワepi文庫 2017.10 [2015]

 
「教えておくれ、お姫様」爺さんが言っている。
  「おまえは霧が晴れるのを喜んでいるかい」/
  「この国に恐怖をもたらすものかもしれないけど、
   わたしたち二人には、ちょうど間に合ったって感じね」/
  「わたしはな、お姫様、こんなふうに思う。
  霧に色々と奪われなかったら、私たちの愛は
  この年月をかけてこれほど強くなれていただろうか。
  霧のおかげで傷が癒えたのかもしれない」/
  「いまはもうどうでもよくなくって、アクセル? (略)
  島へ渡してもらいましょう。最初一人なら、つぎはもう一人。」
  (略)
  「わかったよ、お姫様。
   だが、もう一度だけ抱きしめさせておくれ」
  (略)
  「じゃ、さようなら、アクセル」/
  「さようなら、わが最愛のお姫様」
》p.477


連作短編集
『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』
カズオ・イシグロ/著 土屋政雄/訳 ハヤカワepi文庫 2011/2/4


 ●3位―『ブロードウェイの天使』デイモン・ラニアン

『ブロードウェイの天使』デイモン・ラニアン 加島祥造/訳
 新潮文庫 1984.8

今回は、正統派で、「ブロードウェイの天使」を推しましょう。

 
その小さな女の子(ドール)ってのは
  まさしくちっちゃな人形(ドール)で、(略)
  こんなチビだけども、またえらくかわいいんだ。(略)
  その子はまるで歩道を引きずられるみたいな様子さ。
  それなのにその小さな子が泣きわめくどころか、
  にこにこ笑っているんだ。どうも不思議に思えるほどさ。


 
おれたちが誰だかわかったらしい。
  マーキーはおれたちひとりひとりに順ぐりに笑いかけるぜ。
  それからその小っちゃな手をベソ公にさしのべようとする。/
  (略)なぜってマーキーはそのほうへ首をめぐらして、
  いかにも耳をすましている様子なんだ、
  そしてそれからおれたちにもう一度ほほえんで、
  はっきりとこうささやくのさ――「マーキーのダンス」/
   それから手を伸ばして、いつも彼女が踊るときのように、
  自分のスカートをつまみあげようとする。
  だけどその雪みたいに白い手は雪みたいに軽くゆっくりと
  胸の上に落ちる。そしてマーキーはこの世じゃあ二度と
  ダンスを踊らなくなっちまうのさ。


 ・・・

ポプラ社〈百年文庫〉第40巻『瞳』収録
(紹介文)
人間の心をみつめる濁りのない目。愛しいいのちの物語。

競馬の「ノミ屋」をしている「ベソ公」は、
 名も知らぬ小さな女の子をとつぜん預けられ途方に暮れる。
 少女の純真な心が大人を動かしていくラニアンの『ブロードウェイの天使』

『百年文庫 40 瞳』ラニアン/著 チェーホフ/著 モーパッサン/著 ポプラ社 2010/10/12

『短編ミステリの二百年1』小森収編 創元推理文庫 2019/10/24
「ブッチの子守歌」(直良和美訳)収録
解説「短編ミステリの二百年/第一章 雑誌の時代に」
<2 アメリカン・ユーモアとミステリの接近>で、
ラニアンについて約9ページ



*参照:『ブロードウェイの天使』について
2019(令和元)年6月15日号(No.249)-190615-
「私の読書論 120-読書生活&書籍購入50年(2)私のお気に入り」
2019.6.15
私の読書論120-読書生活&書籍購入50年(2)私のお気に入り
―第249号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
『レフティやすおのお茶でっせ』版
『新生活』版


 ●私の今年2019年〈フィクション系〉ベスト1
 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡
  ~ 現代の古典SF ~
  横田順彌明治小説コレクション全3巻 日下三蔵編 柏書房
   第一巻『時の幻影館・星影の伝説』

   第二巻『夢の陽炎館・水晶の涙雫』

   第三巻『風の月光館・惜別の祝宴』

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鵜沢龍岳、黒岩四郎、黒岩時子ら、押川春浪とその仲間たちが
初登場するシリーズ短編第一作「蛇」

 
「〈冒険世界〉の鵜沢龍岳です」/
  「やあ、きみが龍岳君か。いつも、小説を読んでいるよ。
  きみのことは、春浪さんから聞いている」/
  黒岩が、にこやかに答えた。/
  「あっ、いかん。自己紹介をするのを忘れた。黒岩四郎です。
  これは、妹の時子といって、女子高等師範の学生です」/
  「はじめまして」/時子と紹介された女学生が、
  小さな声でうなずきながらいった。
》p.19


 
「龍岳君。時子は女のくせに、
  〈冒険世界〉を読んでおってね。
  きみの小説にすっかり夢中になっておるのだよ。
  前から、会ってみたいといっておったが、
  こんなところで会えるとは思わなかったな。
  時子、どうだ、龍岳君は想像以上にいい男ではないか?
  押しかけ女房になるか」/黒岩が、妹を冷やかした。
》p.19


長編第一作『星影の伝説』より
 
「ぼく自身は、長くて、あと五年の命と思っています。
  静乃さん、あなたは、今度の危機を乗り越えるのに、
  ぼくの何年分の精気を必要とするのですか? 
  三年分で足りませんか。もし足りるなら、それをあげます。
  ぼくは、あなたと二年だけ一緒に暮らせれば、
  もう思い残すことはない」/潮風がいった。/
  「ぼくの精気を吸収なさい。
  ぼくは、あなたのために死ぬのなら、なんの悔いもない。
  そのかわり、ひとつだけ、あなたにおねがいがあります」/
  「なんでしょうか?」/静乃がいった。/
  「ぼくという人間が、この世の中に存在したという証を、
  あなたの手で残していただきたいのです」/
  潮風が、思いきったように、語気強くいった。/
  「……はい。よろこんで」/
  静乃が、溢れる涙の顔で、うなずいた。


長編第三作『惜別の祝宴』  
全レギュラー総出演の完結編

 
龍岳が緊張した表情で、呟きながら春浪の顔を見た。/
  「またもや、大事件だよ」/
  春浪が、相変わらず重い口調でいう。/
  「わたし、新婚旅行は取り止めにしましてよ。
  ねえ、龍岳さん」/時子が目を輝かせて、龍岳にいった。/
  「いや、その必要はありませんよ。
  時子さん、ひっかかりましたな」/
  春浪の声が明るくなり、笑顔になった。/
  「咢堂先生たちは、ぜひ黒岩君と龍岳君の結婚を、
  われわれと一緒に祝わせてくれと、のことです。
  時子さんは、また首無美人の死体発見でも
  期待しておったのでしょう」/
  「そんなこと、ありませんでしたよ」/
  みごとに、心の中を見抜かれた時子が、
  顔を赤くしてうつむいた。
》p.431


以下、略――


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本誌では、2019年に読んだ本のなか――2019年に刊行された本というわけではありません、念のため――フィクション系の60冊ほどから、私のオススメのベスト3を紹介しています。

ここでは、引用部分の一部を紹介しています。

それ以外の文章は本誌で!

本誌をご購読の上でご覧いただけると、嬉しく思います。
(やっぱり購読してほしいですからね。)

 ・・・

本誌でも書いていますが、1位が三巻本というのはどうなのか、と。

でも、昨年読んだ本の中で、このシリーズがいちばん楽しかったというのも事実です。
ならば、それでいいのではないでしょうか。

著者の横田さんが亡くなられた年ということもあり、感謝の気持ちも働いている、とも言えそうです。

2位のイシグロの『わたしを離さないで』も、ベタな感じもしますが、よいと思ったので、これでいいでしょう。
他にも『日の名残り』や『忘れられた巨人』も非常によいお話でした。
『わたし――』がこの二編を上回ったのは、老人の思い出話より、若い人の成長の日々を描いたものの方が、読者として心に痛いからでしょうか。

3位の再読からの『ブロードウェイの出来事』デイモン・ラニアンも、お気に入りの作家の作品で、これにこだわるのも、初めて出会った高校生時代のことを思い出してしまうから、かもしれません。

人生は(曖昧となった/なりつつある?)記憶のなかにある、のでしょう。

 ・・・

では、詳細は本誌で!

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

私の読書論130-私のベスト3[2019]フィクション系(2)~横田順彌明治小説コレクション全3巻

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