レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家-「楽しい読書」第301号

2021-09-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書
-301号【別冊 編集後記】

2021(令和3)年8月31日号(No.301)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年8月31日号(No.301)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家」
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 今年も毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2021から――。

新潮文庫の100冊 2021
https://100satsu.com/

角川文庫 カドフェス2021 | カドブン
https://kadobun.jp/special/kadofes/

集英社文庫 ナツイチ2021
http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/
(よまにゃチャンネル)
http://bunko.shueisha.co.jp/natsuichi/yomanyachannel/

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 ◆ 2021テーマ「準古典」+「新顔作家」 ◆
  新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)
  「新顔作家」から――集英社文庫
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前号に引き続き、
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から」
の二回目。

2021(令和3)年7月31日号(No.299)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)準古典」

「お茶でっせ」2021.7.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)
-「楽しい読書」第299号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/07/post-38536e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/872fb55a4a5a78d989b58cf7878bc188

昨年から読書量が減っていますので、一月ではこなせなくなっています。
前回は、新潮文庫と角川文庫でした。
今回は集英社文庫です。
「新顔作家」の中から行こうと思います。


(画像:新潮文庫の100冊 角川文庫カドフェス 集英社文庫ナツイチ 新潮・角川・集英社三社の夏の文庫フェア・パンフレット)


(画像:各パンフレットのそれぞれのページ:走れメロス さぶ 作家の秘められた人生)


(画像:それぞれの本の書影:さぶ 作家の秘められた人生 走れメロス(角川文庫版でなく手持ちの文春文庫版))


 ●集英社文庫から、ギヨーム・ミュッソ『作家の秘められた人生』

ギヨーム・ミュッソは、フランスのミステリ作家。
それもベストセラー作家だそうです。
2018年に『ブルックリンの少女』で日本初上陸、
2019年の『パリのアパルトマン』に続き、2020年の本書で紹介三作目。

『パリのアパルトマン』は、
昨年の「集英社文庫 ナツイチ2020」に選ばれていました。

それで、ミステリ好きの私としては、
今回この新作を取り上げてみることにしました。

もう一つの理由としては、作家にまつわるお話だということ。

ベストセラー作家の突然の断筆の理由とか、
作家志望の青年が前半の語り手として登場するなかで、
小説を書くうえでの作法であるとか、
作家としての心構え的な話題のやりとりがあり、
私の関心を呼ぶ部分があったことでしょうか。

各章の前に、作家たちの小説作法に関する名言や
人生に関する名言などが引用されています。

なるほどと頷くものもあれば、非常にシニカルなものがあったり、
面白い取り合わせです。

いくつか例を挙げてみれば――

 第1章 作家に求められる第一の資質
 《作家に求められる第一の資質、それは尻の皮が厚いこと。
    ダニー・ラフェリエール》

 第2章 書くことを習得する
 《物書きから見れば、競馬騎手の商売は安定したものだ。
    ジョン・スタインベック》

という皮肉なものや、

 第6章 作家の休暇
 《バカンス中の作家というものは存在しない。作家の人生とは、
  書いているか、そうでなければ、何を書こうか考えているからだ。
    ウジェーヌ・イヨネスコ》

 第11章 夜はかくのごとし
 《「良い小説とは何か?」/
  「読者の愛情と共感を呼び起こすような登場人物を考え出す。
  それから彼らを殺す。それにより読者を傷つけるのだ。
  こうすれば、読者はあなたの小説をいつまでも記憶に留めるだろう」
    ジョン・アーヴィング》

作家としての心構えや
小説作法の真髄のような事柄について書いています。


 ●ストーリー

ベストセラー作家フォウルズが突如断筆して、
南仏・地中海の島に隠棲して20年――。

作家志望の青年「ぼく」ラファエルは、島の本屋に店員で住み込み、
一切外部の人とかかわらない生活を続けているフォウルズに
自分の原稿を見てもらおうと出かけていく。

さらに新聞記者マティルドは、ある決意を胸にフォウルズに接近する。

そのとき、浜辺で女性の惨殺死体が見つかり、島は封鎖される──。

マティルドは、ある偶然で手に入れたカメラの画像から、
自分の両親や弟を殺した犯人としてフォウルズに復讐しようとする。

フォウルズの断筆の理由とは、
実は愛する女性を殺されたことに起因すると判明する。


 ●作品としては?

真相は、とてもスゴイ内容です。

そして、よく考えられたストーリーです。
ミステリとしては面白いものです。


ただ展開としてこれはいいのか、と思うような構成になっています。
この辺はどうなのでしょうか。

面白い内容なので、読んで損はないものです。

とくに、小説を書きたいとか、書いてみようと思う人は、
ぜひ読んでみるべきものです。

しかも一回通して読むだけでなく、
何度も読み返して、構成や展開を確認してみると勉強になるでしょう。


 ●小説家志望者に役に立つ助言あれこれ

最後に私が気になった小説家や
小説作法についての名台詞を引用しておきましょう。

p.141
 《「小説というのは感動であって知性ではない。
  しかし感動を生むためには、まず体験をしてなければならない。
  小説の登場人物の感動を具体的に感じてみる必要がある。
  それは主人公から悪役まで、
  きみの作品の登場人物の[全員](原文傍点)に関わる話だ」
  (中略)
  「とにかく、小説を読むときはそれを期待するね、
  [わたしは](原文傍点)」》

p.142
 《「小説家、これはパートタイムの仕事じゃない。
  きみがもし小説家なら、毎日二十四時間ぶっ通しで小説家なんだ。
  けっしてバカンスなど取れない。
  ある考え、ある表現、登場人物の造形を豊かにするような特徴が、
  頭のなかをよぎるのを絶えず警戒し、
  絶えず待ち伏せしていなければならない」》

p.47
 《だれもきみに書くことを[教えられない](原文傍点)。
  それは自分ひとりで習得するものなんだ」》

などなど。

なかなか有効な助言になっているように思います。
改めて、小説家を目指す人は、読むべき一冊でしょう。


*集英社文庫 ナツイチ2021 から

『作家の秘められた人生』ギヨーム・ミュッソ/著 吉田 恒雄/訳
集英社文庫 2020/9/18
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 ★創刊300号への道のり

2009(平成21)年

13
2009(平成21)年1月号(No.13)-090131-
『失われた世界』英雄的行為としての秘境探検
14
2009(平成21)年2月号(No.14)-090228-
『学問のすゝめ』新時代の国民教科書
15
2009(平成21)年3月号(No.15)-090331-
『地底旅行』ジュール・ヴェルヌ<驚異の旅>
16
2009(平成21)年4月号(No.16)-090430-
私の読書論―その1―読書の三種類
17
2009(平成21)年5月15号(No.17)-090515-
私の読書論―その2―読書の三種類(続)
18
2009(平成21)年5月31日号(No.18)-090531-
『自助論』=『西国立志編』元祖自己啓発書
19
2009(平成21)年6月15日号(No.19)-090615-
私の読書論―その3―読書の三種類(続)
20
2009(平成21)年6月30日号(No.20)-090630-
『怪談』ラフカディオ・ハーン/小泉八雲
21
2009(平成21)年7月15日号(No.21)-090715-
私の読書論―その4―読書の三種類(続)
22
2009(平成21)年7月31日号(No.22)-090731-
『十五少年漂流記』夏の文庫100冊から
23
2009(平成21)年8月15日号(No.23)-090815-
私の読書論―その5―読書のイロハ(1)なぜ読書が必要か
24
2009(平成21)年8月31日号(No.24)-090831-
『武士道』新渡戸稲造・太平洋の橋
25
2009(平成21)年8月15日号(No.25)-090915-
私の読書論―その6―読書のイロハ(2)なぜ読書?
26
2009(平成21)年9月30日号(No.26)-090930-
『白い牙』ジャック・ロンドン―犬と狼と人と

091115号外「ひと月お休みのお詫びと再開へのご挨拶」
27
2009(平成21)年11月30日号(No.27)-091130-
私の読書論-7-<特別編>自分のライブラリーを持とう
28
2009(平成21)年12月15号(No.28)-091215-
私の読書論-8-年齢の数ぐらいのオススメ本を持とう
29
2009(平成21)年12月31号(No.29)-091231-
『代表的日本人』内村鑑三―I for Japan


休まず発行し続けていた印象があったのですが、休んでいましたね。
このころは最初に買ったノートパソコンが故障がちになった頃でした。
8年もったのですが、ダメになりました。

また、二年目から月末だけでなく、月のなかば(15日)に
「私の読書論」を紹介する号を発行することにしました。

古典の名作名著を紹介するだけでなく、
読書習慣のある人を育てたいという気持ちがあり、
従来紹介されてきた読書法や読書術というものでは不十分であり、
間違った部分もあるという不満もあり、
自分なりの方法を紹介したいと思うようになった、というのが理由です。

月末の「古典紹介」編では、
主に海外と国内の<明治期>の作品を交互に紹介しました。

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本誌では、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家」と題して、前回ふれることができなかった集英社文庫からの一冊を!

今年選んだ私の3冊から前回は、角川文庫『走れメロス』から太宰治「走れメロス」、新潮文庫から山本周五郎『さぶ』を紹介しました。
今回は、集英社文庫ナツイチ2021からギヨーム・ミュッソ『作家の秘められた人生』というフランス・ミステリのベストセラーを。

今回もまたまたまたの大サービスで、全編転載公開しています。

この「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア」シリーズでミステリ、なかでも海外ミステリを取り上げるのは、初めてです。

ミステリといいましても、小説家志望の青年が憧れの小説家を訪問し、小説家としての姿勢や小説作法について対話するというストーリーでもあり、別の意味での読みどころがありました。

「古今東西の古典を中心に読書の面白さを紹介する」という弊誌のテーマからもあまり外れていない作品でした。


今年のテーマは、「準古典」と「新顔作家」ということで、「準古典」では、将来古典や名作に昇格しそうな作品を選んでいます。
「新顔作家」については、今後の自分の読者の範囲を拡げることにつながりそうな、自分好みの作家になりそうか、もしくは読んでおくべき作家となりそうな人を探すというものです。

加齢と共に、読書の範囲が狭くなってゆくものです。
好みの作家が亡くなったり、本を出さなくなったり、好みの傾向の作品が手に入りづらくなったりといったことがあります。

例えば、昨今は海外の翻訳物が今は冬の時代となり、今まで出ていたシリーズものの紹介が途切れたり、ある作家の作品が出なくなったりということが起きてきます。

そこで読む本の範囲が狭くなってきたわけで、改めて(自分にとっての)新しい作家を探そうという企画です。

そういう観点からも、まずは面白そうな作品を紹介できたと納得しています。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家-「楽しい読書」第301号
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