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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5) -楽しい読書313号

2022-03-01 | 本・読書
 ―第313号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2022(令和4)年2月28日号(No.313)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5) 」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年2月28日号(No.313)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5) 」
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 昨年の10月以来の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」で、
 14回目です。

2021(令和3)年10月31日号(No.305)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武 」
2021.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武
-楽しい読書305号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/10/post-0dd04c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/156f20ec8874a78841b7bb8cfe311a79

 昨年10月以前も、6月末以来で少し間が空いていました。

 漢代の漢詩紹介は、以下の3回。

2021(令和3)年6月30日号(No.297)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如」
2021.6.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(11)漢代(3)司馬相如
-楽しい読書297号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/06/post-aa5f70.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3785ab87310dd8b989acb0d12f973c69

2021(令和3)年5月31日号(No.295)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(10)漢代(2)武帝」
2021.5.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(10)漢代(2)武帝-楽しい読書295号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-f8c653.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d31b50fcf279c28162a752e01ad8b80e

2021(令和3)年4月30日号(No.293)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(9)漢代(1)項羽と劉邦」
2021.4.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(9)漢代(1)項羽と劉邦-楽しい読書293号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/04/post-4b639f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/6dfa35eb01ce468d12a1b6e80ba0e6c7


今回は、まずは、漢代(前漢)の女性を歌う詩を。
 これは、五言詩の最初の一例だといいます。

 次に、グッと時代を進めて、
 後漢の時代のある夫婦の相聞歌を紹介しましょう。


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◆ 一句五字からなる五言詩 ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5)
  前漢・五言詩の最初の一例「歌一首」李延年 
  ~ 「傾城」―国を傾けてしまう女性の魅力を歌う詩 ~
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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社
「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」


 ●歌一首 李延年

まずは、漢代(前漢)の女性を歌う詩を。

宮廷歌手だった李延年(前140?-前87?)が、
武帝に妃として自分の妹を推薦し、
そのCMソングのようなものを書いたのが、それ。


歌一首
 歌一首  李延年(りえんねん)

 北方有佳人  北方(ほつぽう)に佳人(かじん)有(あ)り
 絶世而独立  絶世(ぜつせい)にして独(ひと)り立(た)つ
 一顧傾人城
  一(ひと)たび顧(かえり)みれば人(ひと)の城(しろ)を傾(かたむ)け
 再顧傾人国
  再(ふたた)び顧(かえり)みれば人(ひと)の国(くに)を傾(かたむ)く
 寧不知傾城与傾国
  寧(いずく)んぞ傾城(けいせい)と傾国(けいこく)とを
   知(し)らざらんや
 佳人難再得  佳人(かじん)は再(ふたた)び得(え)難(がた)し


 北国に素晴らしい女性がいて、
  世の名から一人、ひときわ目だっています
 一たび振り向いて流し目を送れば人々の住む町を傾け、
 もう一度振り向いて流し目を送れば国全体を傾けてしまうほどです 
 彼女が町や国を傾けてるほどの危険な魅力の持ち主であることを、
  どうしてわからないはずがありましょう
 こんな素晴らしい女性はまたと得難いのです

  『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
   江原正士、宇野直人/著 平凡社
  「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」より


詩の形に注目。
いままでの楚調の詩と異なり、ほぼ一句五字からなるもので、
五言詩という新しい詩形の最初の一例、だということです。

武帝の時代、シルクロードが発展し、西域のめずらしいものが流入し、
楽器や音楽もその一つで、内地でも異なるリズムが流行った。
するとリズムに合わせて、歌詞も変化した。

『詩経』の一句四文字のゆったりした二拍子から、
五言になると、「北方・有(ゆう)・佳人」「絶世・而(じ)・独立」と、
一・二・三、一・二・三の三拍子のリズムにかわった、といいます。

 《当時の音楽文化の変化が詩の変化を促したわけです。
  つまり誰かが“五言詩を作りましょう”と主張したのではなく、
  生活のリズムが自然に五言へと結晶したんですね。》p.125

  『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
   江原正士、宇野直人/著 平凡社
  「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」より


内容的にも宮廷歌手らしく王侯貴族たちを楽しませることに主眼を置き、
面白おかしい中に、主張を込めている、といいます。

為政者が女性に迷うと国を混乱させる、
美女が傾城と傾国のもとになる、という寓意を込めています。

武帝はこの詩によるのか、実際に李の妹を妃としたそうです。


後に絶世の美女を指して「傾城(けいせい)」と呼ぶようになったは、
この歌に基づいている、といいます。

のちに日本では、「遊女」の同義語となり、
遊廓を傾城町と称した例もあるといいます。

 ・・・

実は、今回はもう一つ後漢の詩を取り上げて、
漢代は終了にする予定でした。

しかし、今月はふつうの月に比べ日数が短く、間に合いませんでした。
次回に回します。
あしからず!

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22

▲★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。

★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。

 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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 ★創刊300号への道のり(13) 2020(令和2)年1-6月(13年目前半)

263.
2020(令和2)年1月15日号(No.263)「お詫びとお知らせ」

264. [hikkii 565]
2020(令和2)年2月15日号(No.264)「(週刊ヒッキイ・コラボ編)
左利き小説紹介/左右反転で左利きになった人々」

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第565号(No.565) 2020/2/15「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(39)小説編(2) 左右反転で左利きになった人々
(楽しい読書・コラボ編)」

265.
2020(令和2)年2月29日号(No.265)「私の読書論128-
私の年間ベスト3・2019年(前編)リアル系」
 ●私の2019年〈リアル系〉ベスト3
(1)『詩学』アリストテレス/著 三浦洋/訳 光文社古典新訳文庫 2019/3/8
『アリストテレス 詩学/ホラーティウス 詩論』松本仁助・岡道男/訳 岩波文庫 1997/1/16
(2)『沙門空海』渡辺照宏・宮坂宥勝/著 ちくま学芸文庫 1993/5/1
―従来の伝説的な偉人としての〈弘法大師伝〉から脱却し、より客観的な、〈人間空海〉像を描こうとした一時代を画した伝記。
(3)『〔完全版〕若き日と文学と』辻邦生・北杜夫/著 中公文庫 2019.7
―1970年に出版された『若き日と文学と』の増補・完全版、文庫版は1974年。全対談を網羅、辻邦生没後20年記念。

266.
2020(令和2)年3月15日号(No.266)「私の読書論129-
私の年間ベスト3・2019年フィクション系(1)」

267.
2020(令和2)年3月31日号(No.267)「私の読書論130-
私の年間ベスト3・2019年フィクション系(2)」

●1位―横田順彌明治小説コレクション全3巻 日下三蔵編 柏書房
   第一巻『時の幻影館・星影の伝説』
   第二巻『夢の陽炎館・水晶の涙雫』
   第三巻『風の月光館・惜別の祝宴』
●2位―『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ/著
 土屋政雄/訳 ハヤカワepi文庫 2008.8 [2005]
●3位―『ブロードウェイの天使』デイモン・ラニアン 加島祥造/訳
 新潮文庫 1984.8

268.
2020(令和2)年4月15日号(No.268)「私の読書論131-
本好きになる子供時代の経験とは?-松岡正剛、佐藤勝の場合(1)」
松岡正剛、佐藤勝の両氏の対論集
 『読む力 現代の羅針盤となる150冊』中公新書ラクレ 2018/4/9

269.
2020(令和2)年4月30日号(No.269)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(1)漢詩とはなにか」
一海知義『漢詩入門』岩波ジュニア新書 1998.6.22

270.
2020(令和2)年5月15日号(No.270)「私の読書論132-
本好きになる子供時代の経験とは?-松岡正剛、佐藤勝の場合(2)」

271.
2020(令和2)年5月31日号(No.271)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(2)『詩経』」

272.
2020(令和2)年6月15日号(No.272)「私の読書論133-
本と読書の話題-松岡正剛、佐藤勝対論集『読む力』から(3)」

273.
2020(令和2)年6月30日号(No.273)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)」

 ・・・

今回から一年分を半分ずつに分け、1-6月を前半とします。
この年の月末「古典紹介編」は、
古代中国の文芸、「漢詩を読む」編を始めました。

「私の読書論」では、前年の「私のベスト3」と、月の半ばの号では、
松岡正剛、佐藤勝対論集『読む力』を取り上げ、
ご両人の読書歴などたどりながら読書について考察しました。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5)」をお届けしています。

今回は全編転載です。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(14)漢代(5) -楽しい読書313号
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