夜10時頃にお風呂を済ませ、大好きな「ショパンの夜想曲」を聴きながら、うとうとしていた。
左横になっていた私が、正面に向きを替えたその時に
胸に少し違和感を感じた。
ん?
身体が沈んでいくような、これまで体験したことのないような息苦しさに襲われた。
もしかして・・・このまま永遠の眠りになるのかなぁ~~
次第に気が遠くなるような感じで怖かった。
急いで、隣で熟睡中の夫を起こした。
「ねぇ~夜間診療の病院を聞いて貰いたいの」
時計の針は12時を回っている。
仕事がある夫を動かす訳にはいかない・・・・。
長男の運転で、近くの総合病院の急患夜間診療を受けた。
車の中での私は、ハァ~ハァ~と過呼吸から来る息苦しさ。
心電図と胸部レントゲンを撮ることになった。
酸素は足りているらしい。
こんな事って、初めで困惑した。
どうしたの、私??
簡単な検査を終えて、先生の所見を伺うと
心電図も脈拍も胸部レントゲンでも異常はありませんが
細かいことは精密検査をしないと分かりません。
疑われるのは、血管の先が細くなってくる狭心症・・・・・?
お薬を2錠出しますので、帰られたら1錠飲んで休んでください。
その朝、品川にある病院に向かった。
初めての循環器科だ。
心電図は2回。1回目は、そのままの状態、2回目は負荷後の心電図だ。
それから、胸部レントゲンを撮られた。
若い先生に尋ねた。
「真夜中にも胸部レントゲン撮ったんですけど、いいんでしょうか?」
「大丈夫ですよ、毎日撮っている人もいますからね。」
人の身体だと思って・・・・もう。
被曝量は少しでも、永久に身体に残る放射能・・・・でしょう?
嫌だわ~~。
でも・・・仕方ないわね・・・・・。
自問自答しながら、結果を聞く。
それで・・・・何?何処が悪いの?
「心電図も脈拍も胸もノーマルですね。精密検査の必要はないでしょう、
過呼吸は、心理的なものだと思います。」
そうよね、心臓は強いもの私・・・・?
今は亡き義父が、カテテールを入れる精密検査を受けたことがあった。
検査結果、心筋梗塞だと分かった義父は、延命の為のバイパス手術を拒否した。
そのとき74歳だった義父は、約2年後に突然他界した。
「手術して衰えた身体のまま生きるのは耐え難い。今のままで構わない。」
義父は、きっぱりとそう言った。
今、思うと、痛みを堪えていたのだろう、眉間に皺を寄せた表情が思い出される。
痛かっただろうに痛いと弱音を吐かなかった義父。
辛いことも辛いとは一度も聞いたことがない。
いろんな科があるけど、特に緊急を要する「循環器科」
緊急と言えば、脳外科もそうだし、考えたら他にもたくさんある。
命はひとつ。
使命感に燃えた先生は多いのだろうか?
医学の世界も日進月歩。
先生方には、感謝の気持ちがいっぱい。
いろんなタイプの先生がいらっしゃるけど
ただ、ただ、感謝。