南斗屋のブログ

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後遺障害に伴う自宅購入費用

2007年06月18日 | 交通事故民事
 後遺障害が生じたことにより、自宅を改修した場合、その改修に必要性があれば、改修費用は認められるものとされています。

 ところで、事故当時、被害者が住んでいたところが、所有ではなく、賃貸物件であった場合、賃貸物件を改造するわけにはいきませんので、自宅を購入しなければならないとうケースが出てきます。
 このような場合、自宅購入費用は認められるでしょうか?

 結論として、これは認めるべきであると思いますし、実際にこれを認めた裁判例もあります。

 大阪地裁H19年4月10日判決(自保ジャーナル1688号13頁)は、
「本件事故当時の原告の自宅が借家であって、大幅な改装ができなかったことを前提とすると、自宅マンションの購入は本件事故によって、その必要性が生じたものと認めるべきである」
としています。

 もっとも、この裁判例はそれに続けて
1.マンションは財産として残る
2.他の家族の利便に供する部分もあるとの理由から、マンション購入費用の30%のみを、損害賠償として認めるとしました。

 しかし、上記の理由のうち、少なくとも1については、いささか疑問です。

 確かに、マンションは土地にあたる部分(敷地権)と、建物にあたる部分があり、その両方を合算した代金として、マンションの購入費用が出されているはずです。

 土地部分については、これは資産であるということができますから、大阪地裁の判例の論理が妥当すると思います。

 しかし、建物部分については、価値が減少していき、数十年経てばゼロとなるべきものですから、この部分については「財産として残る」との論理は、当てはまらないと思います。
 特に、被害者が若い場合(大阪地裁のケースも事故当時23歳でした)は、その傾向が強くなり、平均余命まで生きるという前提で考えるならば、建替まで視野に含めて、損害賠償をしなければならないのではないでしょうか。



コメント (1)
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