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男女間の賃金格差が過去最小に
2012年02月24日
|
年少女子の逸失利益問題
男女間の賃金格差が、これまでで最小になったというニュース
http://www.j-cast.com/2012/02/23123151.html
女性の基礎収入をどうみるかの議論に影響を与える可能性があります。
女子の逸失利益は男子よりも低い 1
2005年10月13日
|
年少女子の逸失利益問題
例えば、10歳の男子と同い年の女子が交通事故により死亡した場合、損害賠償額は同じでしょうか?
現在の算定方法だと損害賠償額は異なる!ということになります。
この原因は、逸失利益の額がことなるからです。
逸失利益というのは、
”本来なら将来収入を得ることができたのに、交通事故のために収入を得ることができなくなった、その分の穴埋め”
です。
死亡事故の場合、逸失利益は、収入をベースに算定することになっています。
すでに収入がある人は、基本的にその収入をベースにしますが、では、いまだ職業についていない人が死亡した場合はどうするか?
この場合、厚生労働省が出している
「賃金センサス」
という統計を使用します。
この統計の使用が男子と女子の逸失利益の差を生じさせてしまうのです。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 2
2005年10月12日
|
年少女子の逸失利益問題
(女子の逸失利益は男子よりも低い1 からの続き)
賃金センサスというのは厚生労働省が、現在の賃金を統計処理したものです。
交通事故事件で就労していない男子が死亡した場合、
男性の全労働者平均賃金
という項目を使用して、逸失利益を算定します。
就労していない女子が死亡した場合は、
女性の全労働者平均賃金
という項目を従来は使用していたのです。
そうすると、
男性の全労働者平均賃金と女性の全労働者平均賃金
が等しくない限りは、逸失利益に差が生じてしまうことになるのです。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 3
2005年10月11日
|
年少女子の逸失利益問題
実際に賃金センサスではどのくらいの差があるのでしょうか。
平成15年の賃金センサスだと
男性の全労働者平均賃金は、547万8100円
女性の全労働者平均賃金は、349万0300円
となり、年収ベースで実に200万円近い差が生じてしまっています。
このような差を生じさせてしまうのは誰しもよくないと思うはずですが、この格差が固定化されているのが現状でした。
これは最高裁が格差を容認する判決をだしていたからです。
被害者側が、「年少者の逸失利益の計算に男女で差を設けるべき理由はない。」と主張したのに対し、
昭和61年11月4日の最高裁判決(判例時報1216号74ページ)は、事故当時1歳9ヶ月の女児の逸失利益について、「女性労働者の全年齢平均賃金で計算しても不合理ではない」として、格差を認める判決を出したのです。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 4
2005年10月10日
|
年少女子の逸失利益問題
このような最高裁判決がでても、被害者側からは是正を求める主張が絶えません。
家事労働分を賃金センサスに加算すべきだと被害者側が主張したことがあります。
賃金センサスでは、家事労働というのは計算されておりませんので、その分を加算すれば男性と同じような賃金となるはずであるという発想です。
しかし、最高裁はこの主張をいれませんでした。
昭和62年1月19日判決(民集41巻1号1ページ)は、「女性労働者の全年齢平均賃金に家事労働分を加算することは認められない」として被害者側の主張を認めず、家事労働分を加算するということは葬られてしまいました。
裁判における最高裁判決の影響力というのは、絶大なものがあるのですが、年少女子の逸失利益の問題というのは、やはり根深いものがあり、最高裁判決が出た後も裁判官の間でも何かしら是正しなければならないものと認識されていたようです。
その例が1999年11月に出された「共同提言」です。
(続く)
女子の逸失利益は男子よりも低い 5
2005年10月10日
|
年少女子の逸失利益問題
この「共同提言」というのは、東京・大阪・名古屋の3地方裁判所民事交通部が出した
「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(判例タイムズ1014号62ページ)
です。
交通専門部があるのは、上記の3つの地方裁判所しかありません(他の裁判所では一般の事件を扱う部署が交通事故事件も扱っています)。
つまり、交通事故を専門的に扱う地裁の裁判官が出した提言であることに意味があるわけです。
ここで、逸失利益の男女格差の問題を、
「是正の必要性及びその可否について多くの検討すべき要素があり、直ちに解決することは困難であり、徐々にその問題の解消に努めてゆくこととしたい」
と述べ、解消の方向性を打ち出しています。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 6
2005年10月09日
|
年少女子の逸失利益問題
このような流れの中で2001年に高裁レベルで年少女子に全労働者の平均賃金を認めた判決が出ました。
東京高裁平成13年8月20日判決(判例時報1757号38頁)
大阪高裁平成13年9月26日判決(自保ジャーナル1414号)
がそれです。
この高裁判決に対しては、上告及び上告受理申立がなされましたが、最高裁は上告を棄却し、また上告審として受理しませんでした。
つまり、最高裁はこの東京高裁及び大阪高裁判決を維持したのです。
しかし、一方で、女子労働者の平均賃金を使用すべきだとの高裁レベルの判決も出ており、
福岡高裁平成13年3月7日判決(判例タイムズ1061号222頁)
東京高裁平成13年10月16日判決(金判1127号11頁)
がそれです。
これらの判決も最高裁は維持したのです。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 7
2005年10月08日
|
年少女子の逸失利益問題
年少女子労働者の逸失利益について、
ある高裁が全労働者の平均賃金
別の高裁が女子労働者の平均賃金
を採用していながら、最高裁が双方の判断を是認したということは、最高裁は双方の意見を統一することなく、高裁の判断に任せるということです。
つまり、この問題については、高裁までが勝負というのが現在の状況です。
そこで、高裁でも耐えられるようなレベルの判決を獲得するためにはどのようにしたらよいのかについては、全労働者の平均賃金を採用した高裁は具体的にどのようなことをのべているのかを検討する必要があります。
まず、東京高裁平成13年8月20日判決(判例時報1757号38頁)ですが、この判決は
「高等学校卒業までか少なくとも義務教育を修了するまでの女子年少者については、逸失利益算定の基礎収入として、賃金センサスの女子労働者の平均賃金を用いることは合理性を欠く」
と結論付けました。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 8
2005年10月08日
|
年少女子の逸失利益問題
その理由は、以下のとおりです。
1 賃金センサスで男子と女子の平均賃金の差が生じているのは、男女の役割分担についての従来の社会観念が原因(具体的には、女子のほうが家事労働をしており、結果的に就労期間や労働時間あるいは職務内容が制約された状況にある)
2 本来有する労働能力については、個人による差はあっても、性別による差は存在しない
3 就労可能年齢に達していない年少者の場合は、多様な就労可能性を有しているのであり、その就労可能性の幅に男女差はもはや存在しないに等しい状況にある
4 近い将来に男女の平均賃金の格差が解消するという見込みがあるとは言いがたいが、このことと年少者の一人一人について就労可能性が男女を問わず等しく与えられていることは別問題
以上が、東京高裁判決の理由付けです。
男女の平等という観念を、「本来有する労働能力については、個人による差はあっても、性別による差は存在しない」と表現し(2項)、「就労可能年齢に達していない年少者の場合は、多様な就労可能性を有しているのであり、その就労可能性の幅に男女差はもはや存在しないに等しい状況にある」(3項)という
論理をもとに結論を出しています。
そのため、全労働者の平均賃金を採用できる年少女子の幅が「高校卒業までか義務教育を修了するまでの女子年少者」に限定されてしまっているといえるでしょう。
この判決の論理は、未就労者でも、大学在学中の女性については使えないことがお分かりいただけるかと思います。
(続)
女子の逸失利益は男子よりも低い 9
2005年10月08日
|
年少女子の逸失利益問題
次に、
大阪高裁平成13年9月26日判決(自保ジャーナル1414号)
を検討してみましょう。
この判決は、「特段の事情のない限り、全労働者の平均賃金の方が、未就労年少女子にとって、より合理的な算定方法である」と結論付けており、東京高裁判決が高校女子かそれ以下の年齢に限定しているのに比べ、「未就労年少女子」としているだけに幾分含みをもたせているようにも見えますが、「年少女子」と述べていることや大阪高裁で問題となったケースは死亡当時14歳でしたから、東京高裁と同様の考え方をとっているとも読めます。
大阪高裁の理由付けは、以下のとおり。
1 近い将来に男女の平均賃金の格差が解消するという見込みがあるとは言いがたいが、未就労年少者は、現に労働に従事しているものとは異なり、不確定的な要素があり、多くの可能性を有する
2 女性の労働環境をめぐる法制度、社会環境はそれなりに大きく変化しつつあり、女性の賃金格差の原因ともいうべき従来型の就労形態にも変化が生じ、男性の占めていた職域にまで女性が進出する社会状況がそんざいする
3 よって、女性も男性並に働きかつ、男性と同等に扱われる社会的基盤が形成されつつあるといえる
というものです。
(続)
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