原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が公開した和解事例1676から和解事例1680までを紹介いたします。
1676=旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)の精神的損害の延長に関するもの
1677=避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)で不動産を使用貸借していた者の住居確保損害に関するもの
1678=福島県内の会社の営業損害に関するもの
1679=会津地方の不動産の売買仲介業者の営業損害に関するもの
1680=自主的避難等対象区域(福島市)の生活費増加費用・営業損害に関するもの
和解事例(1676)
旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、その近傍において就労していたが、原発事故により会津若松市において就労することとなった申立人について、会社都合により郡山市に転勤となり同市で住宅を購入した平成25年6月まで、月額10万円の日常生活阻害慰謝料が賠償された事例。
和解事例(1677)
避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)内の建物に無償で居住していた申立人について、同居住が使用貸借契約に基づくものであったと認定した上で、避難先住居の8年分の使用料等相当額及び一時金たる保証料の合計額が賠償された事例。
和解事例(1678)
福島県内において下水汚泥処理を含む複数の事業を営む申立会社の平成25年4月分から平成28年3月分までの下水汚泥処理事業に係る営業損害(逸失利益)について、申立会社全体でみれば売上高が回復している時期も上記期間内にあるものの、下水汚泥処理以外の事業の受託量が増加したことによる回復であり、下水汚泥処理事業とそれ以外の事業との工程及び人的・物的資源は別個独立しており、各事業の売上高も両立し得ることから、申立会社全体の売上高の減少ではなく下水汚泥処理事業単体での売上高の減少に基づき原発事故の影響割合(8割)等を考慮して算定した金額が賠償された事例
和解事例(1679)
会津地方において田舎での生活を目的とする不動産の売買仲介等を営み、東京電力の平成27年6月17日付けプレスリリースに基づく請求においては相当因果関係が認められないとして年間逸失利益の1倍相当額の賠償を受けた申立人の平成27年8月分以降の営業損害について、年度ごとに原発事故の影響割合を考慮しながら損害額を算定し、上記1倍相当額とは別に、逸失利益の賠償が認められた事例
和解事例(1680)
自主的避難等対象区域(福島市)から当初は母子のみ、後には父も避難した申立人ら(父母及び子2名)について、平成27年3月までの避難費用(住居費、二重生活の間の面会交通費等)、生活費増加費用(二重生活に伴う生活費増加分、原発事故前は自家消費していた米及び野菜について購入することを余儀なくされたことによる費用等)及び避難雑費等が賠償されたほか、申立人世帯の副業である農業(米)の平成25年4月分から平成27年3月分までの営業損害(逸失利益)について、原発事故前の確定申告は申立外祖父の名義で行っていたものの、実際には申立人らが農業に従事していたものと認め、基準期間の売上高に米の全国平均価格係数を乗じた上で出荷経費を控除して算出した額に原発事故の影響割合として5割を乗
じた額が賠償された事例