交通事故の被害者が介護を必要とするような状態になった場合、介護者は、抑うつ状態になることが多いといわれています。
抑うつの治療には、精神科に通院することが必要となってきますが、なかなか介護者の方は精神科に行きにくいようです。
原因のひとつには、
"精神科というところは、自分とは関係ないところ”
という考えがあると思います。
これは、多くの日本人に共通してみられる考えでしょう。
精神科というのは、その言葉だけで、何かマイナスイメージを与えるようです。
内科とか外科であれば、そんなことは感じないのでしょうが、精神科ときくと良いイメージを抱かない、そんなところが、まず障壁としてあるのではないでしょうか。
精神科にマイナスイメージをもつことは、ほとんどが、精神科に対する誤解ないしは無理解によるものでしょう。
私がこれまで会ってきた医師の中でも、精神科の医師は、医師の中ではコミュニケーションをとるのが上手な方が多いと思います。
これは、精神科では、患者さんから話を引き出すことが不可欠なことと密接に関連しているような気がします。
ただ、精神科というものが、今のマイナスイメージを完全に払拭して、気軽に行けるようになったとしても、やはり精神科に行くことは困難を生じると思います。
もちろんそれは、介護それ自体が忙しいといった理由もあるかもしれませんが、最大の理由は、精神的なものの症状を自分自身で把握することが困難を極めることにあるからです。
例えば、うつの症状としては、気分がふさぎこんでいるとか今まで興味があったことに興味が持てなくなるということがあります。
しかし、このようなことは、それまでにも往々にしてあることで、しかも病院などにいかなくてもいつのまにか自然に治っていたということが多いため、そのような症状がでたからといって、病院に行こうという発想になかなかなりません。
また、うつの症状には、体が痛い、だるいというような症状が出ることもあるのですが、そのような症状に対応するには、内科とか別の科に行くことを考えてしまい、精神科に行くという発想はなかなかでません。
これは、内科を受診して、特に異常がないといわれても同じで、「内科的に問題がないなら、病院では治らないのか」という思いの方が先に立ってしまい、「精神科に行ってみるか」という思いはでてこないかと思います。
これは、精神科的な症状というのは、なかなか自覚症状をもてないということの表れではないかと思っています。
なお、以前、”うつ”については、このブログでもとりあげて、私のホームページの方で、PDFファイルでまとめたものがありますので、ご興味のある方は参照してください(→
こちら)。