南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

NASVA交通事故被害者ホットラインは機能するか

2007年09月28日 | 未分類
 自動車事故対策機構(NASVA)については、このブログでは、
 「療護センター」
「自動車事故対策機構から支給される介護料」
ということに触れてきたところで、交通事故の被害者、特に重度の被害者とは関わりの深い機関です。

 そのNASVAが、電話での総合的な相談窓口『NASVA交通事故被害者ホットライン』を10月1日より開設するそうです。
NASVAのHP

 同HPによりますと、その趣旨・目的は、

 ”交通事故の被害者が、法律、金銭、介護など、交通事故に起因する悩みについて相談できる窓口の機能を充実することとし、全国の交通事故の被害者及びその家族の皆様に対して、お困りごとに応じて地方公共団体をはじめ各種相談機関の法律、損害保険及び紛争処理等の相談窓口をご紹介する電話相談窓口を開設するものです。”

というものです。
 この文章をざっと読むと、この電話相談窓口でいろいろな相談事を解決してくれるかのように思えてしまいますが、じっくり読むとそうではないことがわかります。

 この文章の、「お困りごとに応じて地方公共団体をはじめ各種相談機関の法律、損害保険及び紛争処理等の相談窓口をご紹介する」というところがポイントです。

 このように、”相談の内容によっては、ほかの相談機関や相談窓口を紹介するだけ”の役割しかもっていないのです。
 つまりは、相談の振り分け作業の機能しか有していないとすれば、相談者としては、このホットラインに電話しても、「それは、**が相談窓口ですから、そちらに電話してください。電話番号は・・・」と言われてしまうだけ、ということもありえないことではないのでは、と思ってしまいます。

 まずは、その点がたらい回しにならないような運用を望むばかりです。

 また、コールセンター業務というのは、全国的な組織である日本司法支援センター(法テラス)でも行っており(法テラスについての過去記事はこちら)、そのコールセンター業務と重複しないのか、屋上屋を重ねるものではないのかという疑問も正直もっています。

 コールセンターがどれだけ活用されるかは、そのコールセンターの認知度によります。そもそもそんなコールセンターがあることさえ知らなければ、電話をかけようがないわけですから。
 それに、使い勝手が悪ければ、口コミでも広がらず、だんだんと件数は減っていってしまうでしょう。

 なお、法テラスでは、毎月8万件のコールをみこんでいたようですが、最初の月が3万5000件、ここ数ヶ月では1万7000件~2万件あたりで推移しているようです(詳細は、法テラスのコールセンターの受電状況統計)。

 発足当初かなり報道された法テラスですら、当初の予想とはかなりかけ離れた実績しか上げられていないので、コールセンターを成功させるというのがいかに難しいかということがおわかりいただけるのではないかと思います。


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飲酒運転の厳罰化(続)

2007年09月26日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 前回、飲酒運転の厳罰化 という記事で、2007年9月19日施行の道路交通法改正について書きました。

 厳罰化の目的は、飲酒運転の撲滅ということにあります。
 厳罰化それ自体は、飲酒運転を減らすことにある程度は貢献するとは思います。

 しかし、弁護士として日々様々な事案に接していますと、厳罰化しただけでは、人々の心まですべて変えることはできないこともまた思い知らされます。

 ですから、飲酒運転がゼロにならないまでも、さらに減らしていくためには、厳罰化や取り締まりの強化ということだけでなく、他の方面への活動も必要であろうと思います。
 
 例えば。
 アルコール依存への対応もそのひとつでしょう。
 アルコール依存への対応策については、法務省も動き出しています。
 (以前書いた「法務省、刑務所などでの断酒指導を強化へ」という記事も参考にしてください)

 また。
 公共交通機関の少ない地方では、飲酒すれば、車で移動するしかないわけですが、それを誰が運転するのかという問題が生じてきます。
 飲酒していない身内や友人が送ってくれればよいですが、そういうことが期待できない場合、運転代行やタクシーを使うようにできるかどうかというのは、その地域の一種の”飲酒文化”にかかわる問題かもしれません。

 
 

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飲酒運転の厳罰化(2007年9月19日、改正道路交通法の施行)

2007年09月24日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 飲酒運転やひき逃げの罰則強化が、9月19日から施行されています。
 
 警視庁のサイトを見たのですが、まだ、更新がされていないのか、罰則がどうなったのかについての情報は載せられていません。
 あまり参考になりませんが、ご覧になりたい方は→こちら

 千葉県警では、もっと情けないことに、本日現在では「作成中」ということでした。
 これまた全然参考になりませんが、ご覧になりたい方は→こちら

 ホームページを作成するよりは、取り締まりをやった方がPRになると考えているようですね。
 実際、法施行日の9月19日午前0時から、各警察は取り締まりを行っていたそうで、翌20日の新聞には一斉にその記事が出ていました。

 ところで、肝心の法改正の内容ですが、このNPOのサイトが見やすく、かつわかりやすいです。
 →こちら

 酒気帯び運転は、今回の改正で
  3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
になりました。

 私が弁護士になりたてのころは、
  3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
だったはずです。

 当時の検察庁・裁判所の運用は、ほかに前科がないとすると、
酒気帯び運転1回目 罰金5万円で起訴→罰金5万円の命令
酒気帯び運転2回目 罰金5万円で起訴→罰金5万円の命令
ただし、2回目になると、裁判官から、「この次やったら、もう罰金では収まりませんよ。次は裁判所の法廷に呼び出されることになりますよ」と諭されることが入ったそうです。
そして、
 酒気帯び運転3回目にして、正式裁判で起訴。
 懲役3ヶ月求刑で
 裁判官は、おおむね執行猶予3年をつける。

というようなものでした。
 飲酒運転のあまりの刑の軽さに唖然としていた思い出があります。

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労災申請と厚生労働省昭和41年通達

2007年09月21日 | 労働関係
 前回、「通勤時の交通事故と労災申請」という題で、労災申請で会社側が申請自体を渋ることがあることを書きましたが、なぜそのようなことが起こるのか、考えてみました。
 
 本来、会社側は労災申請の適用要件があれば、申請自体を拒否できないのですが、申請を渋るには何か理由があるのではないかと思ったのです。

 実際には、労災の担当者が本心を話してくれなければ、わからないことなので、以下は、推測ですが、厚生労働省の通達に原因があるのではないかと思うに至りました。 

 問題の通達は、労災からの支払いと自賠責保険の支払いとのどちらを先にするべきかということに関するもので、厚生労働省の通達では、
 「原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(昭41.12.16基発1305号)
となっています。

 「通達」というのは、役所と役所の間の取り決めをいうもので、被害者(労働者)は通達にしばられることはありません。

 しかし、労働基準監督局は、この通達に縛られるため、労災と自賠責保険とでは自賠責保険の支払いを労災保険の給付に先行させるようにします。そして、そのことは労働基準監督局から、会社の労災担当者にも運用上伝わっているのではないでしょうか。 
 
 上記の通達は、あくまで労災と「自賠」のどちらを先に支払うかに関するものであり、任意保険についてのものではありませんが、この通達がもたらす影響が、会社の方にまで及んでおり、正確に会社の担当者が通達の趣旨を理解していないと、通勤時の交通事故での労災申請に及び腰になってしまうのではないかと思います。

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通勤時の交通事故と労災申請

2007年09月19日 | 労働関係
 労災の申請について、多い相談はこのような相談です(以下の相談は、複数の方の相談をまとめたもので、特定の方の相談ではありません)。

 「私は、会社に勤務していて、通勤時に交通事故に遭いました。加害者には任意保険会社がついていますが、どうも支払いの交渉がうまくいきません。
 通勤時でしたから、労災も請求できるのではないかと思い、労災申請できるかどうかを会社に聞いてみましたら、会社の方で、『加害者の方で任意保険があるなら任意保険から支払ってもらってください』と言われてしまいました。
 このような場合、労災申請はできないのでしょうか?」

 まず、問題を整理してみましょう。

 通勤時に交通事故にあった場合は、
1 加害者に対して損害賠償を請求できます
2 通勤時の災害ということで、労災の適用要件を基本的にはみたします

 問題は、1と2と両方ある場合、労災を申請できるかということですが、労災を申請することはできます。
 つまり、労災と任意保険会社とのどちらへも請求できます。

 もっとも、双方から二重取りできるわけではありません。

 では、どうして労災を申請する必要があるかというと、任意保険会社の対応が悪いとか、被害者の方にも過失がある程度あって、それがどの程度なのかが問題となっているかなどで、任意保険会社が支払いを渋る場合があるからです。
 
 このような交渉が行き詰まりを見せること自体、被害者にとってはストレスです。
 ただでさえ、怪我を負って、日常生活や仕事に影響が出ているのに、なれない交渉ごとをしなければならないというのは、非常に負担です。

 そこで、労災の方がスムースにいくのであれば、そちらで申請しようと考えるのですが、会社の方でも、「任意保険会社の方で・・・」などと言われると、ますます行き場がなくなってしまうわけです。

 先にも述べましたように、労災の適用要件があれば、会社側は申請を拒めないのですが、相談のケースのように、「任意保険会社から支払ってもらってください」などと会社の担当がいうのは、そのようにしてもらってくださいという単なるお願いと考えるべきで、それ以上のものではないのです。

 しかし、実際に会社の労災担当の方に言われてしまうと、被害者側としては、労災の申請はできないのではないか・・・と思ってしまうのが、一般的だと思います。

 法律の筋としては、会社は労災申請をしなければならないわけですから、被害者側が、毅然とした対応をすれば、本来、労災申請は通らないとおかしいです。
 もっとも、かなり粘らないと会社の担当者を説得できない場合もありますので、交渉ごとが負担だという方は、弁護士などの専門家に任せてしまった方がよい場合もあるかと思います。
 
 

 

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「高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル」

2007年09月17日 | 高次脳機能障害
 「高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル」という本が出版されています。
 初版は2006年5月、中央法規という出版社からで、病院や福祉に携わっている様々な方が著者となっています。

 章立てとしては、

第1章 高次脳機能障害の理解
第2章 診断基準
第3章 高次脳機能障害者への支援体制
第4章 社会復帰・生活・介護支援の進め方
第5章 支援の実際
第6章 当事者団体への活動支援
第7章 当事者団体の活動
第8章 権利擁護

となっていまして、社会復帰するためにはどのような支援があるのかや当事者団体がどのような活動を行っているかなどについては、詳細に書かれています。

 医師が書いた本ですと、どのような症状なのか、それはどのようなことからそのようになるのかの説明が多くなることが多いですが(例えば、橋本医師著ののPHP新書「高次脳機能障害」)、この本では、「支援マニュアル」をうたっているだけあって、どのように支援活動をおこなったらいいのかということが具体的に書かれています。
 「事例研究」も載っており、様々な症状を呈する高次脳機能障害を理解するには参考になります。

 もっとも、「第8章 権利擁護」については、弁護士の目から見ると全く実際の役に立たない記載です。
 
 同書には、高次脳機能障害者は、財産・金融に関わる権利擁護の必要性がある、例えば、本人の自覚がないところで闇金融業者から借金を重ねたために多額の返済を迫られている例、本人の知らないうちに預貯金他人の口座にうつされた例等がああるということが書かれております。

 同書では、このようなことに対応するために、「地域福祉権利擁護事業」と「成年後見制度」があるとして、この2つの制度について書いているのですが、これだけでは闇金融業者への対応にはなりません。

 闇金融業者は、その異常な取り立てに対向しなければならず、そのためには、迅速に弁護士を代理人として行動してもらう必要がありますが、そのようなことが何ら書かれていないのは、手落ちではないかと思います。

 ほかの項目が充実しているだけに、高次脳機能障害者が陥りやすい法律上の問題にどのように対応していくかについて、きめ細かい紹介が必要でしょう。




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「コムスン解体」記事に見る在宅介護の状況

2007年09月14日 | 未分類
コムスン解体で浮かび上がった介護保険の問題について、日経新聞が9月6日~8日付け朝刊で特集を組んでいました。

 コムスンの問題は、介護保険の問題ですが、今後の日本の障害者介護全般の問題とリンクしていくと思いますので、注目して読んでいました。
 
 とりあげられていた問題の一つとして、
 在宅介護は(施設介護に比べて)もうけにくい分野である
というものがありました。

 以下、私なりに要約してみますと、

1 施設介護は、介護保険の収入のほかに、保険外収入(家賃や給食収入など)があり、この保険外収入で採算をとることが可能だけれども、在宅介護は、介護保険収入のみに頼らざるをえない。

2 しかも、介護保険の報酬は、2005年10月と2006年4月に改訂があって、介護の度合いが軽度の人向けサービスの下げ率は、平均5%にも及んでおり、在宅介護の売り上げは低下せざるをえなくなった

3 在宅介護の事業者からは、「もう採算がとれない」との悲鳴もあがっている

4 このように在宅介護市場が利益をあげにくい構造があるため、人材難が慢性化している
 女性ヘルパーの年収は平均260万円(2005年)にすぎないし、介護職員の離職率は、2004年10月からの1年間で約20%にものぼっている
 
5 このようなことから、新たに在宅介護サービスに参入しようという業者が表れなくなる(参入障壁)という悪循環になっている

というもので、まさに在宅介護はお先真っ暗という状況にあるようです。

 厚生労働省の狙いは、介護費の抑制でしょうから、今後もこの点は直ちに改善するとは思えません。

 前に、「”将来の介護料は廉価になる”という一部裁判例の見方」という記事を書きましたが、 少なくとも現時点では、そのような考えは全くの見当はずれだと思います。





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裁判所での電話会議

2007年09月12日 | 交通事故民事
 先週は関東、東北地方を台風が縦断し、ちょうど私もそのときは東北地方での裁判所の期日があったものですから、東北新幹線に乗らなければならなかったのですが、新幹線が動くかどうか、動いたとして、期日の時刻どおりにたどりつけるかのか、だいぶ神経をつかいました。

 民事の裁判所の期日は、原則、代理人が出頭するということになっています。
 しかし、例外があって、そのひとつが電話会議です。

 例えば、原告が新潟地裁に訴えを提起したけれども、被告の代理人は東京の弁護士がついたというようなケースがあったとします。
 こういう場合に、原告代理人は、新潟地裁に出頭するけれでも、被告代理人は電話会議システムをつかって、その期日のときに、東京の自分の事務所で発言をすることができます。

 電話会議システムは、法廷ではなく、会議室のようなところ(裁判所では「準備室」といったりします)にあります。
 そこで、ハンズフリーの電話会議装置があるので、テーブルにその装置が置かれ、裁判官の声と原告代理人の声が入るように、マイクがその前に置かれます。

 書記官が、被告代理人の事務所に電話しますと、その電話の音が会議室に聞こえるようになっています。
 被告代理人がでれば、裁判官が「電話会議による期日を始めます」と宣言して、電話会議が始まります。

 被告代理人は音声だけで参加するわけです。
 それほど複雑にならないやりとりの場合は、これでも特に不便はありません。
 被告代理人としては、期日のために、東京から新潟まで往復する手間暇を省けるわけですから、その意味で便利な仕組みです。

 ただ、顔を合わせないので、細かいニュアンスが伝わりにくい場合がありますし、裁判官の反応も声だけでしかわからないという欠点はあります。




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遷延性意識障害について

2007年09月10日 | 遷延性意識障害
先週、遷延性意識障害について書きました(「療護センター」)ところ、いくつかブログ内外でご質問・コメントをいただきました。

 まず、”遷延性意識障害と高次脳機能障害の区別がわからない”というような声を聞きました。
 これは、遷延性意識障害が軽度の方と、重度の高次脳機能障害の区別がわからないということであると思います。
 確かに、高次脳機能障害は、意識障害状態から脱した後に残る後遺障害ですので、どこまでが遷延性意識障害で、どこからが高次脳機能障害となるかという点を疑問に思われるのはもっともです。

 遷延性意識障害は、
 以下の6項目を満たし、それが3ヶ月以上継続してほぼ固定している状態をいいます。
 1 自力で移動できない
 2 自力で食物を摂取できない
 3 糞尿失禁をみる
 4 目で物を負うが認識できない
 5 簡単な命令には応じることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない
 6 声は出るが意味のある発語ではない

 これは、1972年に脳神経学会で定義の発表がされたそうです。
 私の手元には、2002年に発行の脳神経外科の教科書があるのですが、それには、「遷延性植物状態」という名前で書かれており、「脳障害を生きる人々」という本でも、医学事典や専門書では「遷延性植物状態」というふうに記されていることが多いとされていますが、後遺障害診断書を見ていますと、たいてい「遷延性意識障害」と記載されておりますので、このネーミングの方が妥当だと思います。

 また、”「治療期間が3年になったら、治療と平行して、退院後のことを考えより早い時期からその準備を進めなくてはならないと考えています。」というセンター長の表現からは、現場の意見を反映した通達?とはほど遠いと感じます。”というコメントをいただきましたが、どうも現場では既に数年前からこのような方向で動いており、それを通達が後追いでだしているような感じのようです。
 
 治療期間が最長で3年ということになれば、現実には、1~2年を目安にするでしょうから、入院したとたんに、次の行き先をもう見据えなければならないということになりかねない状況のようです。



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療護センター

2007年09月07日 | 遷延性意識障害
 療護センターは、自動車事故対策機構が設置・運営している遷延性意識障害者専門の病院で、今のところ全国に4カ所(千葉、仙台、岡山、岐阜)あります。

 自動車事故対策機構というのは、昔は「自動車事故対策センター」といっておりましたが、制度改革で独立行政法人となり、2003年から今の「自動車事故対策機構」という名前になっています。

 療護センターは、”自動車事故対策センター”時代に設置され、対策センター自体が運営してきたものですが、現在は、民間に運営委託されており、それぞれ地元の医療機関が実際には運営にあたっています(詳細は、自動車事故対策機構のホームページ→こちら)。

 千葉の療護センターが一番最初に設置され(1984年)、かつ、4つある中でも最大の療護センター(80床)です。

 療護センターには入院期間の設定があり、被害者のご家族から、「5年」とか「3年」とかいう数字を聞いていたのですが、その根拠はどこにあるのかなと今まで調べもせずにおりました。

 今回、この記事を書くに当たり調べてみましたところ、千葉療護センターのホームページにはこのことが書かれておりました(→こちら

 その内容をまとめますと、

1 設置当初(1984年)は、治療期間の設定はなく、いつまででも入院していることができると病院側は説明していた

2 平成9年9月に自動車事故対策センタ-(当時)から通達があり、平成9年10月以降に入院された方からは、

 ”最長の入院期間は5年。改善の具合によっては5年より短い期間で退院する場合も多い。現在までに退院した患者さんの平均入院治療期間は約3年強である。”
という説明をすることとした。

3 平成19年4月以降入院の患者さんには、最長治療期間3年とすることが、自動車事故対策機構から通知された。

 このように、平成9年10月以降、平成19年3月までに入院された方については、最長入院期間は5年ですが、平成19年4月以降に入院された方には3年ということになり、療護センターが患者の回転を早くする方向性をとっていることが、自動車事故対策機構の政策であることがおわかりいただけるかと思います。 




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