南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

情報と決断のバランス

2010年02月18日 | 未分類
 交通事故のご相談などをしておりますと、つくづく損害賠償額の算定というのは難しいものだと感じます。

 例えば、慰謝料というのを請求することができる、慰謝料というのは、精神的損害であるということまでは、皆さんなんとなくわかっておられるのですが、それでは慰謝料というのはどういう風に算定するのかとなると、難しくなってきます。

 今は、いろいろな知識がネットにもあふれていますので、検索をかけたりすれば、算定方法等もわかるようになってきていますが、ネットがないときには、そのような情報すら法律に通じている人に聞きにいかなければならなかったわけですし、そういう意味では、被害者が情報を得るのに非常に苦労をするという時代が長かったのだと思います。

 今では、ネットに情報があふれているので、それを熱心に見て情報を集めて勉強される方もかなりいらっしゃいます。

 もっとも、様々な情報に触れれば、もっと良いものがあるのではないか、さらに良いものがあるのではないかという思考に陥りがちです。
 ベストなものを選ぼうとするのは、これは人情としては当然なのですが、まだもっとよいものがあるのではないかとばかり考えて、いつまでも決断ができないのであるとすれば、これは知識に振り回されすぎているのかもしれません。
 最終的には、自分がどうするかという「決断」をしなければならず、それがもっとも重要です。

 情報や知識は手段であり、最後は「決断」です。

 以前は、弁護士に依頼する場合は、「弁護士さんにお任せします」という方が多く、また、今でもそのようなタイプの方がおられますが、そのような方は、依頼する弁護士の人間性を見て、信頼してくれているのであろうと感じます。
 つまり、知識や情報の面については弁護士にまかせ、弁護士の人間性を見て、そこが信頼できれば、それにかけるというやり方です。このタイプの方のほうが、大きな決断を即座にされることも多いですし、依頼される弁護士の側からすると、本当に人それぞれであるなあと感じます。



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最近の交通事故訴訟の傾向

2010年02月09日 | 未分類
 最近の交通事故訴訟の傾向について、裁判官が書かれたものを目にしました(自保ジャーナル1813号1ページ)。

 私なりに整理します。

1 交通訴訟はますます複雑、緻密になりつつある
2 その理由
 1) 損害額の算定が基準どおりというより、基準を超えた請求がされたり、また逆に基準より減額しようという主張がなされる
 2) 後遺障害等級が高くなると請求する損害額も大きなものになる(特に、将来介護料、自宅改造費)
 3) 低髄液圧症候群や高次脳機能障害といった病名が準備書面で飛び交い、医療訴訟のようになっている
 4) 人身傷害補償保険や無保険車傷害保険など保険約款の解釈が問題となる事案もある

(以上要約終わり)

 このような状況にあることから、被害者側の弁護士として交通事故訴訟を手がけるには
1 従来の基準を踏まえたうえで、それを超える請求をするかどうかを検討する必要がある
2 当然、後遺障害の内容については勉強しておく必要がある
3 保険約款が問題となることもあるので、このあたりも勉強しておく
ということを気をつけるべきだと思っております。

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弁護士費用特約の注意点

2010年02月02日 | 交通事故民事
弁護士費用特約をつけている方が多くなってきております。
それにつれて、ご相談も多くなっていますので、よくあるご質問をまとめておきます。

Q1 車を運転しているときに、歩行者に怪我をさせてしまいました。弁護士費用特約が使えますか。
A 弁護士費用特約は、ご自分が被害者となった場合のものであり、加害者となった場合は、この特約は適用されません。
しかし、任意保険に入っていれば、任意保険会社が示談代行をしてくれますし、必要なら弁護士を紹介し、その弁護士費用も支払ってくれます。

Q2 弁護士費用特約を使いたい場合、どうしたらいいですか。
A ご自分の加入している任意保険会社に連絡をし「弁護士費用特約を使いたい」と話して下さい。保険会社により、とるべき手続きが違うので、その指示に従って下さい。

Q3 自分の加入している保険会社が紹介する弁護士以外に依頼したいのですが、可能ですか。
A 一般的には可能です。
当事務所をインターネットで見て相談されている被害者の方でも、弁護士費用特約を利用することができていますので、問題ありません。
ただ、ごく一部ですが、任意保険会社の定めた内部基準の弁護士費用を承諾しないと、弁護士費用特約を利用させないという運用をしている任意保険会社があります。
私は、この運用は大変問題があると考えておりますが、このような任意保険に加入している場合は、自由な弁護士選びをできなくなる可能性があります。

Q4 弁護士費用特約で支払ってもらえる弁護士費用はいくらまでですか。
A 一般的には相談料等が10万円、訴訟などを依頼した場合は300万円(実費を含む)となっているようです。
任意保険会社によって、異なる可能性もありますので、疑問が生じたら任意保険会社にお問い合わせ下さい。

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